孤独死があった家の売却ガイド|相続人がやること・相続放棄・告知義務

孤独死があった家を売却するまでの流れとして、警察の検視と遺体の引取り、応急対応と関係者への連絡、3か月以内の相続か相続放棄かの判断、10か月以内の相続税申告、3年以内の相続登記、売却の順に進むことを示した図

この記事の監修者 桐生 達弘(宅地建物取引士/株式会社CLOUD HOMe 代表取締役)。空き家・再建築不可・借地権・底地・共有持分・事故物件など、訳あり不動産の解決実績1,500件以上。監修者プロフィール

離れて暮らす親や兄弟が自宅で亡くなり、発見までに日数がたっていた。突然の知らせに動揺するなか、残された家をどうするか、孤独死があった物件を売却できるのかと不安を抱える相続人の方は少なくありません。孤独死の家の売却は、相続の手続きや告知のルールと切り離せないため、順番を間違えると損をしたり、思わぬ責任を負ったりすることがあります。

結論からお伝えすると、孤独死があった家も売却できます。相続人がまず決めるべきは「相続するか、相続放棄するか」で、期限は相続を知った日から3か月です。放棄を考えているなら、遺品の処分や家の売却に手をつける前に判断してください。売却する場合、自然死でも特殊清掃が行われていれば買主への告知が必要になり、価格は市場価格より1〜2割ほど下がるのが目安です。

この記事では、発見後の初動から、相続するか放棄するかの判断、2023年4月の民法改正で変わった相続放棄後の管理義務、国土交通省のガイドラインに基づく告知義務、売却相場と買取・仲介の選び方、賃貸物件だった場合の原状回復と連帯保証、費用の負担までを相続人の目線で整理しました。監修は、事故物件を含む訳あり不動産の解決実績1,500件以上をもつ宅地建物取引士の桐生 達弘です。

父が一人暮らしの実家で亡くなり、見つかったのは10日ほど後でした。家はもう売るしかないと思っていますが、何から手をつければいいのか…。

まずは落ち着いて、期限のある手続きから押さえましょう。家の片付けや売却の話は、相続するかどうかを決めてからでも間に合います。順番さえ守れば、慌てる必要はありません。

目次

孤独死があった家を売却するまでの流れ|相続人がやることの全体像

孤独死があった家の売却は、警察の対応と遺体の引取り、特殊清掃などの応急対応、相続するかどうかの判断、相続登記、売却という順番で進みます。とくに相続放棄の期限である3か月以内は、家の処分につながる行動を控えることが大切です。

孤独死があった家を売却するまでの流れとして、警察の検視と遺体の引取り、応急対応と関係者への連絡、3か月以内の相続か相続放棄かの判断、10か月以内の相続税申告、3年以内の相続登記、売却の順に進むことを示した図

警察庁の集計(暫定値)によると、警察が取り扱った遺体のうち、自宅で亡くなった一人暮らしの人は2024年上半期だけで37,227人にのぼり、その約28%は死後8日以上たって発見されています。孤独死の家をどう扱うかは、多くの家族にとって身近な問題になりつつあるのです。

スクロールできます
時期の目安相続人がやること注意点
発見〜数日警察の検視、死体検案書の受け取り、遺体の引取り、葬儀・火葬警察の調査が終わるまで室内に入れないことがある
数日〜2週間初期消臭など近隣への応急対応、貸主・管理会社への連絡遺品の処分や売却の約束はまだしない
3か月以内財産と借金の調査、相続するか相続放棄するかの決定期限内に家庭裁判所へ申述しないと相続を承認したことになる
10か月以内相続税の申告・納付(必要な場合)遺産総額が基礎控除を超える場合に申告が必要
3年以内相続登記の申請(2024年4月から義務化)登記をしないと売却の手続きを進められない

「早く片付けて売りたい」という気持ちはよく分かります。ただ、借金がある可能性が少しでもあるなら、片付けや売却の前に財産の調査を優先してください。

孤独死の発見後の初動|警察・遺体の引取り・特殊清掃・遺品整理

孤独死が発見されたら、まず警察が検視を行い、事件性の有無を確認します。相続人は警察から連絡を受けて遺体を引き取り、葬儀を進めることになります。そのあとに必要となるのが、臭いや汚れを取り除く特殊清掃と遺品整理です。

警察の検視と死体検案書、遺体の引取り

医師の診療を受けていない自宅での死亡は、警察が検視を行い、医師が死体検案書を作成します。死亡届の提出や火葬の許可にはこの書類が必要です。警察の調査中は部屋に入れないこともあるため、鍵の返却や室内の確認の時期は担当の警察官に確認しましょう。

葬儀の費用を故人の預金から支払うと相続を承認したことになるのでは、と心配する方もいます。社会的に相当な範囲の葬儀費用であれば、遺産から支出しても単純承認にあたらないとした裁判例がありますが、判断は個別の事情によります。相続放棄の可能性があるなら、領収書をすべて保管し、支出の範囲は控えめにしておくのが安全です。

特殊清掃は「応急対応」と「本格的な清掃」に分けて考える

発見が遅れた場合、体液の染み込みや臭い、害虫が発生し、近隣に影響が出ることがあります。腐敗臭が広がっているときは、相続の判断を待たずに初期消臭などの応急対応を行うのが現実的です。これは財産の価値を保つための保存行為と考えられ、通常は処分にはあたりません。

一方で、床や壁の張り替えを含む本格的な清掃やリフォームは、相続するかどうかを決めてから進めましょう。現況のまま買取業者に売れば、清掃費を相続人が立て替えずに済む場合もあります。費用の相場と業者の選び方は、次の記事で詳しく解説しています。

遺品整理は相続放棄の判断前に進めすぎない

遺品整理で注意したいのは、価値のある遺品を売ったり捨てたり、形見分けとして持ち帰ったりする行為です。こうした行為は相続財産の「処分」とみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。通帳や権利証、印鑑、契約書類などの重要書類は探して保管し、家財の処分は判断がつくまで待つのが基本です。

孤独死の家を相続するか相続放棄するか|相続人が判断すべきこと

孤独死があった家を相続するかどうかは、家の価値と故人の借金、管理の負担を比べて決めます。家の価値より借金が多い場合や、売れる見込みが低く管理費用ばかりかかる場合は、相続放棄が選択肢になります。判断の期限は、相続の開始を知った日から3か月です(民法915条)。

孤独死があった家を相続する場合は売却や活用ができる一方で借金も引き継ぐこと、相続放棄する場合は家も借金も引き継がないが3か月以内に家庭裁判所へ申述が必要で、家を現に占有していれば引き渡すまで保存義務が残ることを比較した図

相続放棄の期限は3か月、調査が間に合わなければ延長の申立てを

相続放棄は、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述して行います。3か月以内に財産の全体像がつかめないときは、期間内に家庭裁判所へ申し立てれば、熟慮期間を延ばしてもらえる場合があります。何もしないまま3か月が過ぎると、借金も含めてすべてを相続したことになるので注意が必要です。

単純承認にあたる行為に注意

相続放棄を考えているなら、相続財産を処分すると単純承認とみなされ、放棄ができなくなる点を押さえておきましょう(民法921条)。どこまでが許されるのかは個別の判断になりますが、目安は次のとおりです。

スクロールできます
行為単純承認とみなされる可能性考え方
家の売却、賃貸、名義変更高い財産の処分そのもの
価値のある遺品の売却・廃棄・持ち帰り高い形見分けでも高価な物は注意
故人の預金を引き出して自分のために使う高い借金の返済に充てるのも避ける
相当な範囲の葬儀費用の支払い低い領収書を保管し、範囲は控えめに
初期消臭や雨漏りの応急修理低い価値を保つための保存行為
重要書類の確認・保管低い処分ではなく調査のための行為

相続放棄しても管理義務が残る場合(2023年4月改正の民法940条)

2023年4月施行の改正民法940条により、相続放棄をした人でも、放棄の時点でその家を「現に占有」している場合は、次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、自分の財産と同じ注意をもって保存する義務を負うことになりました。改正前のように、放棄した人全員が管理を続けなければならないわけではありません。

国土交通省などの事務連絡では、家に自分の家財を置いている、鍵を持っているといった場合は占有者にあたる可能性があると示されています。故人と同居していた家族や、実家の鍵を預かっていた子どもは、放棄後も管理を続ける必要があるかもしれません。全員が放棄した場合は、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てて引き渡す方法が考えられます。

相続放棄の判断基準と、相続した空き家で必要な手続きの全体像は、次の記事にまとめました。

鍵は私が預かっています。放棄しても、ずっと管理しないといけないのでしょうか。

清算人などに引き渡すまでの義務なので、永遠に続くわけではありません。ただ清算人の選任には費用もかかります。放棄する場合でも、家の扱いを早めに専門家と相談しておくと安心です。

孤独死物件の告知義務|国土交通省ガイドラインの基準

孤独死があった家を売るとき、買主に告げる必要があるかは、国土交通省が2021年10月に公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が判断の目安になります。結論としては、自然死や日常生活での不慮の死は原則として告知不要ですが、特殊清掃が行われた場合は告知の対象です。

国土交通省のガイドラインに基づき、自然死や日常生活での不慮の死で特殊清掃がない場合は賃貸・売買とも原則告知不要、特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は賃貸でおおむね3年、売買では期間の目安なく告知の対象になることを整理した表

自然死・日常生活の不慮の死は原則として告知不要

ガイドラインでは、老衰や病気による自然死、自宅の階段での転落や入浴中の溺死、食事中の誤嚥といった日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてよいとされています。孤独死でも、亡くなってすぐに発見され、特殊清掃が必要なかったケースはこちらに含まれるでしょう。

特殊清掃が行われた場合は告知対象、売買は期間の目安なし

自然死であっても、長い間発見されずに特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、買主の判断に影響するとして告知の対象になります。賃貸ではおおむね3年が経過すれば原則として告知不要とされていますが、売買については期間の目安が示されていません。年数がたったからといって、売却時に告げなくてよいとは限らないのです。

告知を怠ると、売却後に契約解除や損害賠償を求められるおそれがあります。売主として告知書に書く内容と書き方は事故物件の告知義務の期間と範囲で、事故物件の定義や調べ方は事故物件とは何かをまとめた完全ガイドで確認できます。

告知書に書く主な内容
  • 亡くなった時期と場所(室内のどこか)
  • 死因(分かる範囲で。自然死・病死など)
  • 発見までのおおよその期間
  • 特殊清掃やリフォームを行ったかどうか、その内容

故人の氏名や年齢など、プライバシーに関わる情報は告げる必要がありません。

孤独死物件の売却相場と、買取・仲介の選び方

孤独死があった家の売却価格は、市場価格より1〜2割ほど低くなるのが目安です。ただし特殊清掃が必要になった場合は告知の対象になり、下げ幅が大きくなりやすくなります。売り方は、時間をかけて高値を目指す仲介と、現況のまま早く手放せる買取の2つです。

相場は「特殊清掃の有無」と立地で変わる

孤独死や病死は、自殺や事件に比べて買主の心理的な抵抗が小さい傾向があります。発見が早く特殊清掃が不要だったケースでは、通常に近い価格で売れることもあります。反対に発見が遅れて床下まで汚染が広がった家は、清掃やリフォームの費用も見込まれるため価格が下がりがちです。

事故の種類ごとの割引率や金額のシミュレーションは事故物件の売却相場は何割引かを種類別に解説した記事にまとめています。

仲介と買取の比較

どちらが向いているかは、清掃費を立て替えられるか、売却を急ぐ事情があるか、相続人どうしで手間を分担できるかで変わります。主な違いは次のとおりです。

スクロールできます
比較項目仲介買取
売却価格市場で買い手を探すため高くなりやすい仲介の7〜8割が目安
売れるまでの期間数か月〜1年以上かかることもある条件が合えば短期間で現金化しやすい
特殊清掃・遺品整理売主が先に済ませるのが一般的現況のまま買い取ってもらえる場合がある
契約不適合責任売主が負うことが多い免責にできることが多い
近所に知られる可能性広告を出すため知られやすい広告を出さずに進められる

遠方に住んでいて立ち会いが難しい、清掃費を立て替える余裕がないといった場合は、買取の見積もりと、清掃後に仲介で売る場合の手取りを並べて比べてみてください。

相続人が複数いるときは、売却の窓口を一本化する

兄弟姉妹など相続人が複数いる場合、家を売るには遺産分割協議で誰が家を相続するかを決め、相続登記を済ませる必要があります。全員の共有名義のまま売ることもできますが、契約や決済のたびに全員の署名と立ち会いが求められ、遠方の相続人がいると手続きが滞りがちです。

実務では、代表の相続人が家を相続して売却し、代金を分ける「換価分割」を選ぶケースが多くあります。特殊清掃や遺品整理の費用を誰が立て替えたかも、分割協議書に書き残しておくと後で揉めずに済みます。共有名義の不動産で話し合いがまとまらないときの考え方は、相続した共有名義の不動産を分割・解消する方法が参考になるはずです。

相続した家なら3,000万円の特別控除が使える場合も

故人が一人で住んでいた家を相続して売ると、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)の特例」が使えることがあります。主な要件は、1981年5月31日以前に建てられた家であること、相続開始の直前に故人以外に住んでいた人がいないこと、売却代金が1億円以下であること、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどです。

2024年1月以降の売却では、売った年の翌年2月15日までに買主が耐震改修か取壊しをすれば対象になり、相続人が3人以上の場合の控除額は1人2,000万円までとなりました。孤独死の家は一人暮らしだったケースが多いため要件に当てはまりやすい一方、マンションは対象外です。適用できるかは税務署や税理士に確認してください。

親が一人暮らしを続けている実家があるなら、生前に住まいと資金をどうするか話し合っておくことも大切です。親が住み続けながら家を資金に変える方法は、親の実家はリースバックできるかを解説した記事で紹介しています。

賃貸物件で孤独死した場合の原状回復と連帯保証

故人が賃貸物件に住んでいた場合、相続人は賃借人としての立場を引き継ぎ、原状回復や未払い家賃を負担する可能性があるので注意してください。相続放棄をすれば相続人としての支払い義務はなくなりますが、連帯保証人になっていた人の責任は別に残ります。

相続人が引き継ぐもの(賃貸借契約・原状回復・未払い家賃)

賃貸借契約は借主が亡くなっても自動的には終わらず、借りる権利と義務が相続人に引き継がれます。相続する場合は、貸主と解約の時期を話し合い、それまでの家賃や特殊清掃を含む原状回復の費用を負担するのが一般的です。日常の使用による傷みや経年劣化は貸主の負担ですが、発見の遅れによる汚染は通常の損耗とはいえず、借主側の負担とされることが多いでしょう。

相続放棄を考えている場合、解約の申し入れや家財の搬出は処分にあたるおそれがあります。貸主から急かされても、放棄の判断がつくまでは事情を説明して待ってもらうのが安全です。

連帯保証人の責任は相続放棄しても残る

連帯保証人は、借主の相続とは関係なく、保証契約に基づいて自分の責任を負います。相続人が放棄しても、連帯保証人への請求がなくなるわけではありません。ただし2020年4月以降に結ばれた個人の連帯保証は、上限額である極度額を定めていなければ無効で、請求できるのも極度額までです(民法465条の2)。

貸主やその管理会社が孤独死保険に加入していれば、原状回復の費用が保険で補われることもあります。請求を受けたら、保証契約書の極度額と、保険の有無を最初に確認してください。

解約と残置物の片付けは貸主と相談して進める

相続人がいない、または全員が放棄した場合、貸主は部屋を次の入居者に貸すことができず、家財の扱いに困ることになります。こうした事態に備えて、国土交通省と法務省は2021年に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表し、単身の高齢者が入居するときに、亡くなった後の解約や家財の処理を任せる受任者を決めておく方法を示しました。

故人がこの条項を使った契約を結んでいれば、受任者が解約や家財の処理を進めます。相続人として関わる場合は、貸主と解約日や明け渡しの方法を書面で確認し、費用の内訳を見積もりで出してもらうと安心です。

孤独死の家の売却にかかる費用と、誰が負担するか

孤独死の家を売るまでには、特殊清掃や遺品整理、相続登記、仲介手数料などの費用がかかり、原則として家を相続した相続人が負担します。複数の相続人がいる場合は、誰がどれだけ立て替え、売却代金からどう精算するかを、最初に書面で決めておくとトラブルを防げるでしょう。

スクロールできます
費用目安・計算方法負担する人
特殊清掃1R・1Kで約30万〜40万円が目安。汚染の範囲で増える相続人(賃貸は相続人または連帯保証人)
遺品整理家財の量と間取りで変わるため見積もりで確認相続人
相続放棄の申述収入印紙800円と郵便切手放棄する人
相続登記の登録免許税固定資産税評価額×0.4%家を相続する人
仲介手数料売買価格×3%+6万円+消費税が上限(400万円超の場合)売主(買取なら不要)
譲渡所得税売却益が出た場合。3,000万円控除の対象なら軽減できる売主

買取で売る場合は、清掃や遺品整理の費用を業者が見込んで価格を決めるため、相続人が先に費用を払わずに済むことがあります。現金の持ち出しを抑えたい方は、清掃前の段階で買取の査定を受けておくと、判断の材料がそろうでしょう。

業者による事故物件の買取の流れや業者の選び方は、次の記事で詳しく解説しています。

孤独死の家の売却・相続に関するよくある質問

孤独死があった家は売れますか?

売れます。自然死や病死は事故物件のなかでも心理的な抵抗が小さく、価格は市場価格より1〜2割ほど下がるのが目安です。特殊清掃が行われた場合は買主への告知が必要になり、下げ幅が大きくなる傾向があります。清掃前の現況のまま買い取る業者もあります。

孤独死の家は告知しないといけませんか?

国土交通省のガイドラインでは、自然死や日常生活での不慮の死は原則として告知不要です。ただし長期間発見されず特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は告知の対象になり、売買では告知が不要になる期間の目安も示されていません。迷う場合は告げておくほうが、後のトラブルを防げます。

相続放棄をすれば、孤独死の家の管理や清掃費の負担はなくなりますか?

相続人としての支払い義務はなくなりますが、放棄の時点で家を現に占有していた人は、次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存する義務を負います(民法940条)。賃貸物件で連帯保証人になっていた場合は、保証人としての責任も残ります。

特殊清掃をしてから売るべきですか?

仲介で売るなら、清掃とリフォームを済ませたほうが買い手は見つかりやすいでしょう。一方、清掃費を立て替える余裕がない場合や、遠方で手配が難しい場合は、現況のまま買取業者に売る方法もあります。両方の手取り額を比べて決めてください。

遺品整理をすると相続放棄できなくなりますか?

価値のある遺品を売ったり捨てたり、持ち帰ったりすると、相続財産の処分として単純承認とみなされるおそれがあります。重要書類の確認・保管や、近隣への被害を防ぐ応急的な清掃は通常問題になりにくいとされますが、放棄を考えているなら家財の処分は判断がつくまで待ちましょう。

まとめ|孤独死の家の売却は「相続の判断」を先に、告知は正直に

孤独死があった家も売却できますが、相続人はまず3か月以内に相続するか放棄するかを決める必要があります。放棄を考えているなら、遺品の処分や売却の約束は控え、応急的な対応にとどめてください。売却する場合は、特殊清掃の有無に応じて告知を行い、仲介と買取の手取りを比べて売り方を選びましょう。

この記事のまとめ
  • 発見後は警察の検視と遺体の引取りを済ませ、近隣への応急対応を優先する
  • 相続放棄の期限は3か月。遺品の処分や家の売却は単純承認になるおそれがある
  • 2023年4月の改正で、放棄後の管理義務は家を現に占有している人に限られた
  • 自然死は原則告知不要だが、特殊清掃が行われた場合は告知の対象
  • 相場は市場価格の1〜2割減が目安。現況のまま売れる買取も選択肢

株式会社CLOUD HOMeは、孤独死などの事故物件を自社で買い取り、特殊清掃前や家財が残ったままの状態からでもご相談をお受けしています。相続の手続きと売却の進め方について、宅地建物取引士の桐生 達弘が状況に合わせてご説明します。どこから手をつければよいか分からない段階でも、お気軽にご相談ください。

監修者

監修者 桐生 達弘(株式会社CLOUD HOMe 代表取締役・宅地建物取引士)の写真
株式会社CLOUD HOMe 代表取締役
桐生 達弘
保有資格:宅地建物取引士

不動産の売買・買取・相続・共有持分・空き家まで幅広く手がけ、2019年に株式会社CLOUD HOMeを設立。空き家・再建築不可物件・共有名義トラブルなど、一般流通が難しい不動産の買取再販事業「空き家のみらい」を展開しています。
他社で断られた権利関係の複雑な案件も、状況を整理して最適な解決策をご提案。2026年6月現在、解決実績は1,500件以上にのぼります。一軒一軒の空き家と地道に向き合い、根本的な解決を通じて、より大きな社会的インパクトを生み出す企業を目指します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次