リースバックは何年住める?定期借家2〜3年の実態と、住み続けるための契約書7項目

リースバックを検討していて、いちばん気になるのは「結局、何年住めるのか」ではないでしょうか。「ずっと住めます」と言われたのに、契約書を見ると期間は2年。この食い違いに不安を感じるのは当然です。

先に答えをお伝えすると、リースバックで住める年数は賃貸借契約の種類で決まります。普通借家契約なら希望する限り住み続けられ、定期借家契約なら2〜3年の契約期間ごとに業者の同意を得て再契約する必要があります。業者の多くが提示するのは後者です。

この記事では、普通借家と定期借家の違い、定期借家で住み続けられなくなる落とし穴、知らないと損する借地借家法のルール、住みたい年数別の選び方、契約書で確認すべき7項目、そして定期借家しか提示されないときの交渉術までまとめました。監修は、訳あり不動産を中心に1,500件以上の相談を解決してきた宅地建物取引士の桐生辰宏です。

営業の方は「更新できますよ」と言っていました。それなら安心していいですよね?

その言葉が契約書のどこに書いてあるかが問題です。定期借家契約には「更新」という仕組み自体がないので、口頭の「更新できます」は法的には何も保証していません。

目次

リースバックは何年住める?答えは「契約の種類」で決まる

リースバックは、自宅を業者に売却する「売買契約」と、その家を借りて住み続ける「賃貸借契約」の2つで成り立っています。住める年数を左右するのは後者で、賃貸借契約には普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。

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契約の種類住める年数期間満了時
普通借家契約借主が希望する限り借主が望めば更新される。貸主は正当事由がなければ更新を拒めない
定期借家契約契約期間(2〜3年が多い)更新はなく契約終了。住み続けるには貸主の同意を得て再契約する

業者の多くが定期借家契約を提示する理由

リースバック業者は、買い取った家を将来転売して利益を確定させる事業モデルで動いています。普通借家契約だと借主が住み続ける限り転売できないため、いつ利益を回収できるか読めません。そこで、2〜3年の定期借家契約にして「期間が来たら退去してもらえる」状態を確保しているわけです。

この事情は売却価格にも反映されていて、定期借家の方が買取価格は高くなりやすい傾向があります。価格が決まる仕組みは以下の記事で解説しています。

普通借家契約を採用する会社もある

一方で、普通借家契約を標準にしている業者や、定期借家でも再契約を原則として保証する業者もあります。長く住みたいなら、契約の種類を業者選びの最初の条件にしてください。「何年住めるか」は交渉して決めるものではなく、業者を選んだ時点でほぼ決まっている、と考えた方が実態に近いです。

リースバックの基本的な仕組みは、以下のピラー記事で整理しています。

普通借家契約と定期借家契約の違い8項目

2つの契約は「更新の有無」だけが違うと思われがちですが、実際には解約のルールや家賃の扱いまで幅広く異なります。リースバックで影響が大きい8項目を並べました。

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項目普通借家契約定期借家契約
①期間満了時借主が希望すれば更新更新なし。再契約は貸主の同意が必要
②貸主からの更新拒絶・解約正当事由と6か月〜1年前の通知が必要。立退料を求められることも期間満了で終了。正当事由は不要
③借主からの中途解約契約の定めに従い可能(1か月前予告が一般的)原則不可。ただし法律上の例外あり(後述)
④契約期間2年が一般的。1年未満は期間の定めなしとみなされる自由に設定可。リースバックでは2〜3年が多い
⑤契約の方法口頭でも成立書面または電磁的記録が必須。事前の説明書面も必要
⑥家賃の改定双方に増減額請求権がある特約で改定しない・請求権を排除することも有効
⑦業者が転売したとき新所有者に契約が引き継がれ、更新も続く期間満了までは引き継がれるが、再契約は新所有者次第
⑧満了時の費用更新料(契約に定めがある場合)再契約は新規契約扱い。礼金・仲介手数料・保証料が再発生することも

「更新」と「再契約」はまったくの別物

ここが最大の誤解ポイントです。普通借家の「更新」は、借主が望めば同じ契約が続くこと。貸主が拒むには法律上の正当事由が要ります。対して定期借家の「再契約」は、いったん契約を終わらせて新しい契約を結び直すこと。貸主には応じる義務がなく、応じる場合も家賃や条件を変えてくる可能性があります。

営業担当が「更新できます」と言ったとしても、定期借家契約なら実態は「再契約に応じるつもりです」という意思表示にすぎません。気が変われば断れますし、担当者が異動すれば約束自体が引き継がれないこともあります。

定期借家は家賃を「固定」できる契約でもある

定期借家にも借主側のメリットはあります。普通借家では、貸主からの家賃増額請求を特約で完全に排除することはできませんが、定期借家では「契約期間中は家賃を改定しない」という特約が法律上有効です。短期の定期借家で家賃を固定しつつ、再契約条件を書面に残せれば、実は安定した契約になります。

家賃の決まり方と交渉のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

定期借家のリースバックで住み続けられなくなる3つの落とし穴

「2〜3年で退去を求められた」というリースバックのトラブルは、ほぼすべて定期借家契約で起きています。パターンは3つに集約されます。

落とし穴①再契約を断られる(口約束は無効)

契約時には「ずっと住めますよ」と言われていたのに、満了の半年前に「再契約はいたしかねます」という通知が届く。これが最も多いパターンです。業者側に転売の予定ができた、投資家に物件を売却した、方針が変わった。理由はさまざまですが、定期借家である以上、再契約を拒むのに理由は要りません。

防ぐ方法は1つだけ。「借主が希望する場合、貸主は同条件で再契約に応じる」といった再契約条項を契約書に入れてもらうことです。

落とし穴②再契約時に家賃を上げられる・費用が再発生する

再契約には応じるものの、家賃を月2万円引き上げる、礼金と仲介手数料を改めて請求する、保証会社の審査をやり直す。再契約は新規契約なので、こうした条件変更はすべて合法です。「払えないなら退去を」と言われれば、実質的な立退きと変わりません。

落とし穴③業者が転売し、新しい所有者が再契約に応じない

リースバック業者は、借主が住んでいる状態の家を「収益物件」として投資家に転売することがあります。定期借家の契約期間中は新所有者にも契約が引き継がれるので即退去にはなりませんが、満了後に再契約するかどうかは新所有者の判断です。前の業者との口約束は、新所有者には一切効きません。

実際のトラブル事例と相談先は、以下の記事で7つのケースに分けて解説しています。

知らないと損する定期借家の法律ルール3つ|借主を守る借地借家法

定期借家は貸主に有利な契約ですが、借地借家法は借主にも一定の保護を用意しています。契約書を読むときや、退去を求められたときに効いてくる3つのルールを知っておいてください。

ルール①事前の説明書面がなければ「普通借家」扱いになる

定期借家契約を結ぶには、契約書とは別に、貸主が「この契約は更新がなく、期間満了で終了する」ことを書面(または電磁的方法)で事前に説明しなければなりません。この説明を欠いた場合、更新がないという定めは無効となり、普通借家契約として扱われます。

契約時に「定期建物賃貸借に関する説明書」のような書面を受け取ったか、思い出してみてください。受け取った記憶がなく、控えもないなら、退去を求められた際に争える余地があります。

ルール②終了通知は満了の1年前〜6か月前に届く必要がある

契約期間が1年以上の定期借家では、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に「期間満了で契約が終了する」と借主に通知しなければ、満了を理由に退去を求められません。通知が遅れた場合は、通知が届いてから6か月経つまで住み続けられます。

満了の2か月前になって突然「来月末で出てください」と言われたら、この規定を根拠に猶予を求めてください。少なくとも引っ越し先を探す時間は法律で確保されています。

ルール③200㎡未満の居住用なら、やむを得ない事情で中途解約できる

「定期借家は期間中に出られない」と説明されることがありますが、床面積200㎡未満の居住用建物なら、転勤・療養・親族の介護など、やむを得ない事情で住み続けるのが困難になった場合、借主は1か月前の申入れで解約できます。一般的な住宅はほぼ200㎡未満なので、リースバックのほとんどのケースで使えるルールです。

施設への入居が急に決まった、子どもと同居することになった。こうした事情で家賃を払い続けるのが苦しくなったときの出口として覚えておいてください。

この3つは契約書に書かれていなくても法律で決まっているルールです。「契約書にないから無理」と言われても引き下がらないでください。

住みたい年数別|普通借家と定期借家のどちらを選ぶべきか

定期借家が常に悪いわけではありません。住みたい年数によっては、定期借家の方が条件面で有利になることもあります。自分の予定に近い行を見てください。

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住みたい年数向いている契約理由
2年以内(住み替え・施設入居が決まっている)定期借家転売時期が読めるため売却価格が上がりやすく、家賃も固定できる
3〜5年(買戻しまでの資金づくり)定期借家+再契約条項期間を3〜5年に設定し、再契約と買戻し特約を書面化する
10年以上普通借家再契約リスクを毎回負うより、更新が保証される契約を選ぶ
終の棲家にしたい普通借家+買戻し特約更新保証に加え、資金ができたら買い戻す道も残す

契約の種類は売却価格と家賃に直結する

普通借家を選ぶと、業者は転売時期が読めない分だけ買取価格を抑えます。同じ家でも「定期借家2年なら7.5割、普通借家なら6.5割」といった差が出ることは珍しくありません。長く住みたい方は、この価格差を「住み続ける権利の対価」と捉えて判断してください。買戻しを視野に入れるなら、以下の記事で必要な権利を確認しておきましょう。

契約期間以外のデメリットも含めて、後悔しやすい人の特徴を確認しておきたい方は、以下の記事もあわせてどうぞ。

契約期間で後悔しないための契約書チェックリスト7項目

賃貸借契約書を受け取ったら、署名の前に次の7項目を探してください。1つでも「書いていない」「口頭で説明されただけ」があれば、書面化を求めてから契約する。これが後悔を防ぐ最短ルートです。

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確認項目安全な書き方の例危険なサイン
①契約の種類「普通建物賃貸借契約」または「定期建物賃貸借契約」と明記種類の記載がない、または説明書面がない
②契約期間開始日と終了日が明記され、住みたい年数と整合1年以下の短期で理由の説明がない
③再契約条項(定期借家の場合)「借主が希望する場合、貸主は同条件で再契約に応じる」「協議のうえ」「応相談」のみ
④家賃改定条項改定の時期・上限・協議不成立時の扱いが明記「貸主は家賃を改定できる」の一文のみ
⑤中途解約条項借主からの解約予告期間と違約金の有無が明記高額な違約金、解約不可の記載
⑥所有者変更時の扱い「貸主の地位を承継した者は本契約の条件を引き継ぐ」転売に関する記載がない
⑦買戻し特約との整合買戻し期限が賃貸借期間内に収まっている賃貸借が2年なのに買戻し期限が5年後

⑦は見落とされがちですが重要です。5年後に買い戻すつもりで特約を結んでも、賃貸借契約が2年で終了し再契約を断られれば、買戻しの前に退去することになります。2つの契約の期限は必ずそろえてください。

契約書に潜む悪質業者の手口と見抜き方は、以下の記事でまとめています。

定期借家しか提示されないときの交渉術3つ

希望は普通借家でも、業者から「当社は定期借家のみです」と言われることは多いものです。その場で諦めず、次の3つを順番に試してください。

交渉①再契約条件を特約として書面化してもらう

「定期借家で構わないので、借主が希望すれば同条件で再契約する旨を特約に入れてください」と伝えます。誠実な業者なら応じますし、応じない業者は最初から再契約するつもりがない可能性が高いので、それ自体が判断材料になります。

交渉②契約期間を3年から5年に延ばす(価格・家賃と交換)

再契約の保証が取れないなら、1回の契約期間そのものを延ばすのが次の手です。「期間を5年にしてもらえるなら、売却価格は少し下がっても構いません」と交換条件を出すと、業者側の計算が変わって通りやすくなります。再契約の回数が減れば、そのたびに発生する費用と家賃改定のリスクも減ります。

交渉③普通借家に対応する業者と相見積もりを取る

最も効くのは、普通借家契約に対応する業者の査定を並べて見せることです。「他社は普通借家で6.5割でした」と伝えれば、定期借家しか扱わない業者も条件を見直すか、少なくとも再契約特約には応じるでしょう。業者の比較ポイントは以下の記事にまとめています。

注意したいのは、再建築不可や借地権付きといった訳あり物件の場合、そもそも査定を受けてくれる業者が限られ、「定期借家2年しか無理」と足元を見られやすい点です。訳あり物件の買取と再生を専門にする会社なら、住みながらリノベーションを行い、長期の契約を前提に条件を組めることがあります。

リースバックの契約期間に関するよくある質問

リースバックの更新料はかかりますか?

普通借家契約で更新料の定めがあれば、更新時に家賃1か月分程度を求められることがあります。定期借家契約には更新がないため更新料はありませんが、再契約時に礼金・仲介手数料・保証料が新規契約として再発生する場合があります。契約書の費用欄で確認してください。

定期借家で再契約を断られたら、すぐに出ていかなければなりませんか?

契約期間が1年以上であれば、貸主は満了の1年前から6か月前までに終了通知を出す必要があり、通知が遅れた場合は通知から6か月間住み続けられます。それでも期間満了後は退去が必要になるため、通知を受けたら早めに住み替え先の確保と、必要なら消費生活センターや弁護士への相談を進めてください。

契約者が亡くなった場合、同居の家族は住み続けられますか?

賃借権は相続の対象になるため、普通借家・定期借家のどちらでも、相続人である家族は契約を引き継いで住み続けられます。ただし定期借家の場合は契約期間の満了で終了する点は変わりません。相続人以外の同居人については扱いが異なるため、契約時に業者へ確認しておくと安心です。

リースバック業者が倒産したり、家を転売したりしたらどうなりますか?

引渡しを受けて住んでいる借主の賃借権は、借地借家法により新しい所有者にも主張できるため、契約期間中に退去を求められることは通常ありません。普通借家なら更新も引き継がれます。定期借家は期間満了後の再契約が新所有者の判断になるため、契約書に承継条項を入れておくことが大切です。

家賃を滞納したら、契約期間中でも退去になりますか?

1回の滞納で直ちに解除されることは通常ありませんが、滞納が3か月程度続くと、普通借家であっても貸主は信頼関係の破壊を理由に契約を解除できるとされています。支払いが難しくなったときは、滞納する前に業者へ相談し、家賃の減額や支払い時期の調整を申し出てください。

まとめ|リースバックで何年住めるかは契約書の1行で決まる

リースバックで住める年数は、普通借家なら希望する限り、定期借家なら2〜3年ごとの再契約次第です。業者の多くが定期借家を提示する以上、「ずっと住める」という言葉を信じるのではなく、再契約条項が契約書に書かれているかで判断してください。

この記事のまとめ
  • 住める年数は契約の種類で決まる。普通借家は更新が保証され、定期借家は再契約に貸主の同意が必要
  • 「更新できます」という口頭の説明は、定期借家では法的な意味を持たない
  • 事前説明書面の欠如、終了通知の期限、200㎡未満の中途解約権は借主を守る法律ルール
  • 2年以内なら定期借家、10年以上なら普通借家。買戻し期限と賃貸借期間は必ずそろえる
  • 定期借家しか出ないときは、再契約特約の書面化・期間延長・相見積もりの順で交渉する

とくに築古や訳あり物件では、業者の選択肢が少ないまま短期の定期借家を受け入れてしまう方が目立ちます。株式会社CLOUD HOMeでは、宅地建物取引士が1,500件以上の訳あり不動産を扱ってきた経験をもとに、住みたい年数に合わせた契約形態と、リノベーション前提の条件をあわせてご提案しています。契約書の内容確認だけのご相談も歓迎です。



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