「リースバックは便利そうだけれど、後悔したという話も聞く。本当に大丈夫だろうか」。そんな不安を抱えて調べている方に、先にお伝えしておきたいことがあります。リースバックのデメリットで後悔した人には、共通する5つの行動パターンがあるんです。
逆にいえば、そのパターンを避ければ後悔の大半は防げます。しかも重要な事実として、リースバックにはクーリングオフが適用されません。契約してしまってから「やっぱりやめたい」は通用しないんですね。

契約前に何を確認しておけばいいのか、具体的に知りたいです。
この記事では、リースバックのデメリットが後悔に変わる典型パターン5選と実際のトラブル事例、国民生活センターが公表した注意喚起の内容、そして契約前に使える10項目のチェックリストを紹介します。読み終えたころには、判断の物差しが手に入っているはずです。
リースバックで後悔する人の特徴5選
トラブルの多くは、契約前の行動に原因があります。後悔した人に共通するパターンを5つ挙げますので、自分に当てはまっていないか確認してみてください。
特徴1|目先の資金だけで判断し、総支払額を計算していない
「2,000万円が手に入る」という金額に目を奪われ、その後に払い続ける家賃の総額を計算していないケースです。期待利回り10%なら、10年間で売却代金と同額を家賃として支払う計算になります。何年住むつもりなのかを決めて総額を出さない限り、損得は判断できません。
家賃の計算方法や総支払額の考え方はリースバックの家賃相場を解説した記事で詳しく扱っています。


特徴2|賃貸借契約の種類を確認していない
後悔の原因としてもっとも多いのがここです。「ずっと住めます」という営業トークを信じたものの、契約書は更新できない定期借家契約だった。数年後に再契約を断られて、住まいを失う。実際に多発しているパターンです。口頭の説明ではなく、契約書の記載を必ず確認しましょう。
特徴3|1社の提案だけで決めてしまう
売却価格も家賃も、会社によって大きく差が出ます。1社だけの提示額では、それが高いのか安いのか判断のしようがありません。最低3社から見積もりを取れば、相場観が自然と身につきます。比較する手間を惜しんだ方ほど、後になって「安く買い叩かれていた」と気づくものです。
どの項目をどう見比べればよいのか、比較の物差しは下記の記事に整理しています。見積もりを依頼する前に目を通しておくと、条件の違いを読み解きやすくなります。


特徴4|買い戻しの約束を書面に残していない
「いずれ買い戻せますよ」と言われて安心したものの、契約書には何も書かれていなかった。こうなると法的な裏づけがなく、買い戻しを断られても対抗できません。買い戻しを考えているなら、価格の算定方法・期限・条件を再売買予約契約書として書面化してください。
特徴5|家族に相談せず1人で決める
自宅は家族にとっても大切な資産です。相続を見込んでいた子どもが後から知って揉める、という話は珍しくありません。1人で抱え込まず、契約前に家族へ相談を。第三者の目が入ることで、冷静な判断ができるという効果もあります。相続への具体的な影響はリースバックは相続対策になるのかを解説した記事でまとめました。
- 総支払額を計算していない
- 賃貸借契約の種類を確認していない
- 1社の提案だけで決めてしまう
- 買い戻しの約束を書面に残していない
- 家族に相談せず1人で決める
実際に起きている後悔・トラブル事例6つ
相談機関や事業者が公表している事例から、代表的な6つのパターンを紹介します。どれも他人事ではありません。
事例1|数年で退去を求められた
「そのままずっと住めます」と説明されて契約したものの、実際は2年の定期借家契約。期間満了時に再契約を拒否され、立ち退きを迫られたというケースです。終の住処のつもりが数年で追われる結果になり、高齢期の転居は身体的にも金銭的にも大きな負担になります。
事例2|家賃を値上げされて払えなくなった
契約更新や再契約のタイミングで「周辺相場の上昇」を理由に値上げを求められ、年金収入では払いきれず退去に至ったケース。国民生活センターの資料でも、約1,600万円で売却し月約6万円だった家賃が3年後に約11万円へ引き上げられた事例が紹介されています。定期借家契約は更新の概念がないため、再契約に応じなければ出ていくしかありません。値上げを拒否しにくい構造になっている点が問題です。
事例3|相場より大幅に安く売却してしまった
リースバックの売却価格はもともと市場価格の7〜8割程度になりますが、そこからさらに買い叩かれる事例が報告されています。国民生活センターの資料には、認知症の疑いがある高齢者が安価な価格でリースバック契約をしていたという相談事例も挙げられました。判断能力が低下した方が狙われやすいという現実があります。
事例4|買い戻せなかった
資金の目処が立ったので買い戻そうとしたら、契約書に買い戻しの定めがなく応じてもらえなかった。あるいは提示された価格が想定を大きく超えていた。買い戻し価格は売却価格の1.1〜1.3倍が相場なので、2,000万円で売った家の買い戻しには2,200万〜2,600万円が必要になる計算です。
事例5|設備の修繕費を請求された
給湯器やエアコンが故障した際、本来なら所有者が負担すべき修繕費を、契約書の特約を理由に借主へ請求されたケースです。「所有者になるから修繕の心配がなくなる」と思っていたのに、実際は負担が残っていた。特約の内容を読み飛ばすと、こうした落とし穴にはまります。
事例6|物件が第三者に転売された
契約したリースバック会社が物件を別の投資家へ転売し、新しいオーナーから条件変更や退去を求められるケース。所有者が変わっても賃貸借契約は原則引き継がれますが、対応方針は新オーナーしだいです。転売の可能性があるかどうかも、契約前に聞いておきたいところ。



どれも契約前に確認していれば防げたものばかりですね。事例を知ることが、そのまま予防策になりますよ。
【最重要】リースバックにクーリングオフは使えない
ここが本記事でもっともお伝えしたい点です。多くの方が誤解していますが、リースバック契約にクーリングオフは適用されません。
なぜ適用されないのか
クーリングオフは、訪問販売などで意に沿わない契約をさせられた「買い手」を守るための制度です。ところがリースバックでは、自宅を手放す利用者が「売り手」になります。制度が想定する立場と逆になるため、売主側から契約の撤回を申し出る仕組みが用意されていないわけです。
消費者が売主になる取引を守る「訪問購入」という制度もありますが、こちらは対象が動産に限られ、不動産は含まれません。国民生活センターも、不動産取引業者を利用する場合はクーリング・オフができないと明確に注意を促しています。
だからこそ契約前の確認がすべて
通常の買い物なら、後から「やっぱりやめます」と言える場面があります。リースバックにその余地はありません。署名した瞬間に、自宅の所有権は動き出します。少しでも迷いがあるなら、その場で判断せず持ち帰る。この一点を徹底するだけで、多くの後悔は避けられるでしょう。
- 「今日中に決めてほしい」と言われたら、必ず持ち帰る
- 契約書の写しをもらい、家族や専門家に見てもらう
- 手付金を受け取る前に、条件をすべて確認する
国民生活センターも繰り返し注意喚起している
国民生活センターは2025年5月21日、住宅のリースバック契約について注意を呼びかける報道発表を行いました。表題は「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!-本当に『そのまま“ずっと”住み続けられる』契約ですか?-」というものです。
資料によれば、相談の契約当事者の約7割が70歳以上で、相談件数はここ数年増加が続いています。「何時間も勧誘され続けた」「マンションを売るよう執拗に勧誘された」といった勧誘の問題に加え、「売却後もそのまま住み続けられると説明されたのに家賃を値上げされ支払えなくなった」という深刻なケースも挙げられました。公的機関が警鐘を鳴らすほど、被害が広がっているということです。
その後も状況は改善しておらず、2026年8月にも「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」として、あらためて注意喚起が公表されています。家賃の値上げと転売をめぐる相談は、今なお寄せられ続けているのが実情です。
なお国土交通省も、リースバックのガイドブックを公開しています。契約前に一読しておくと、確認すべき項目を漏れなく押さえられます。
後悔しないための事前チェックリスト10項目
契約書にサインする前に、次の10項目を確認してください。すべてに「はい」と答えられる状態が理想です。
| 確認項目 | チェックの観点 |
|---|---|
| 1. 賃貸借契約の種類 | 普通借家か定期借家か、契約書の記載で確認したか |
| 2. 契約期間と更新条件 | 何年契約か、再契約は保証されているか |
| 3. 家賃の金額 | 周辺相場と比較し、総支払額を計算したか |
| 4. 家賃改定の条項 | 値上げの条件と上限が定められているか |
| 5. 売却価格の妥当性 | 3社以上の査定を比較したか |
| 6. 買い戻しの条件 | 価格・期限・方法が書面化されているか |
| 7. 修繕費の負担区分 | 設備故障時に誰が負担するか特約を確認したか |
| 8. 初期費用と継続費用 | 敷金・礼金・更新料の有無を把握したか |
| 9. 転売の可能性 | 第三者へ売却される場合の取り扱いを聞いたか |
| 10. 家族への相談 | 相続人となる家族に説明し、理解を得たか |
特に重要な3項目の見方
10項目のなかでも、優先度が高いものを補足します。
1つ目は賃貸借契約の種類です。契約書の冒頭に「定期建物賃貸借契約書」と書かれていれば定期借家契約で、期間満了とともに契約は終わります。長く住みたいなら普通借家契約を求めるか、再契約が保証される特約を入れてもらいましょう。
2つ目は家賃改定の条項。「経済情勢の変動により賃料を改定できる」といった条文があれば、値上げの余地が残ります。改定の頻度や上限幅を明記してもらえないか交渉してみてください。
3つ目は修繕費の負担区分です。「借主が修繕費を負担する」旨の特約が入っていないか、細かい字まで目を通してください。所有者が負担するのが原則なので、逆になっていれば理由を尋ねるべきでしょう。
チェックリストの項目に一つでも不明点が残るなら、契約は保留を。急かす相手ほど、慎重に向き合う必要があります。
あわせて、契約前には会社側による審査もあります。物件の条件や家賃の支払い能力がどう見られるのかを知っておくと、無理のない条件を自分から組み立てやすくなります。


こんな勧誘は要注意|悪質業者の見分け方
国民生活センターの資料から読み取れる危険なサインを整理しました。ひとつでも当てはまれば、契約を進めるべきではありません。
長時間の勧誘・その場での契約を迫る
何時間も居座って帰らない、「今日決めてくれれば特別な条件で」と急かす。こうした手口は、考える時間を奪うことが目的です。冷静に比較検討されると不利になると、業者側が理解しているからにほかなりません。玄関先で長時間の話に応じる必要はないので、はっきり断って構いません。
高齢者だけを狙って訪問してくる
家族が不在の時間帯を選んで訪問する、判断能力が低下した方に契約を迫る。実際に、認知症の疑いがある高齢者が安い価格で契約させられていた事例が報告されています。ご高齢の親御さんがいる方は、こうした勧誘があった場合すぐ連絡してもらうよう伝えておくと安心です。
デメリットを説明しない
売却価格が相場より安くなること、家賃が発生すること、定期借家契約なら住み続けられない可能性があること。これらを自分から説明しない会社は信頼できません。誠実な事業者ほど、不利な情報も先に伝えたうえで判断を委ねてくれます。
- 何時間も居座り、その場での契約を迫る
- 家族への相談を嫌がる、止めようとする
- デメリットや契約条件の説明を避ける
- 宅地建物取引業の免許番号を明示しない
宅地建物取引業の免許番号は、国土交通省の検索システムで実在を確認できます。会社名と免許番号を聞いたら、その場で調べてみるのも有効な自衛策です。
リースバック以外の選択肢とも比較する
後悔を防ぐうえで効果的なのが、他の方法と並べて考えることです。目的が同じでも、手段はひとつではありません。
| 方法 | 住み続けられるか | 資金の性質 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| リースバック | 住める(契約による) | 売却 | 引っ越したくない |
| 通常の売却 | 住めない | 売却 | 高く売りたい |
| リバースモーゲージ | 住める | 借入 | 所有権を残したい |
| 不動産担保ローン | 住める | 借入 | 返済能力がある |
「資産として家を残したい」ならリースバックは向きませんし、「価格を最優先したい」なら通常売却のほうが合理的です。それぞれの違いはリースバックの基本を解説した記事にまとめているので、比較検討の材料にしてください。
住まいの老朽化が理由で悩んでいる場合は、売却と同時にリノベーションを行う方法もあります。詳しくはリノベーション付きリースバックの記事をご覧ください。




トラブルが起きたときの相談先
すでに契約してしまった、勧誘がしつこくて困っている。そんなときは1人で抱えず、公的な窓口を頼ってください。
| 相談先 | 相談できる内容 |
|---|---|
| 消費者ホットライン(188) | 最寄りの消費生活センターにつながる全国共通の窓口 |
| 消費生活センター | 強引な勧誘や契約トラブル全般の助言 |
| 国土交通省 住宅局 | 宅建業者の行為に関する相談 |
| 弁護士 | 契約の無効主張や損害賠償など法的手続き |
相談する際は、契約書・重要事項説明書・受け取った資料・勧誘を受けた日時のメモを手元に用意しておくと話が早く進みます。判断能力が低下した家族が契約させられた場合は、契約の取り消しを主張できる可能性もあるため、早めに弁護士へ相談しましょう。
リースバックの後悔に関するよくある質問
- リースバックはやめたほうがいいのでしょうか?
-
一概にそうとはいえません。引っ越さずに資金を確保したい方には有効な仕組みです。ただし資産を家族に残したい方や、価格を最優先したい方、長期居住を確実にしたい方には向きません。目的と条件が合っているかで判断してください。
- 契約後に解約したくなったらどうすればいいですか?
-
リースバックにクーリングオフは適用されないため、原則として一方的な解約はできません。強引な勧誘や虚偽の説明があった場合は契約の取り消しを主張できる可能性があるので、消費者ホットライン(188)や弁護士へ早めに相談してください。
- 定期借家契約と普通借家契約、どちらを選ぶべきですか?
-
長く住み続けたいなら普通借家契約が安心です。定期借家契約は期間満了で契約が終了し、再契約に応じてもらえなければ退去することになります。家賃が安いという理由だけで定期借家契約を選ぶのは避けましょう。
- 高齢の親が勝手に契約していました。取り消せますか?
-
判断能力が不十分な状態での契約や、強引な勧誘による契約は、無効や取り消しを主張できる可能性があります。実際に国民生活センターへ同様の相談が寄せられています。契約書を確保したうえで、消費生活センターと弁護士に相談してください。
- 後悔しないために最低限やるべきことは何ですか?
-
3社以上の見積もり比較、契約書での借家契約の種類の確認、居住予定年数での総支払額の計算、家族への相談。この4つを実行するだけで、後悔の大半は防げます。その場での契約は避け、必ず持ち帰って検討しましょう。
まとめ|後悔の大半は契約前の確認で防げる
- 後悔する人の特徴は、総支払額の未計算・契約種別の未確認・1社決定・口約束・家族への無相談
- 実際のトラブルは、退去要求・家賃値上げ・安値売却・買い戻し拒否・修繕費請求・転売の6類型
- リースバックにクーリングオフは適用されず、契約後の撤回はできない
- 国民生活センターは2025年5月に注意喚起を行い、2026年8月にも重ねて呼びかけている
- 契約前の10項目チェックと3社比較が、もっとも確実な予防策になる
リースバックそのものが危険な仕組みというわけではありません。問題になるのは、仕組みを理解しないまま契約してしまうこと。急かされても持ち帰り、書面で確認し、家族と話す。この3つを守れば、後悔のリスクは大きく下げられるはずです。
空き家のみらいLABを運営するCLOUD HOMeは、不動産の買取からリノベーション、活用のご提案までワンストップで対応しています。リースバックが合わないと判断した場合は、その理由も含めて正直にお伝えします。迷っている段階でのご相談も歓迎ですので、お気軽にお声がけください。





