リースバックの家賃相場は?計算方法と安くする交渉術を解説

リースバックを検討するとき、多くの方が最初に気にするのが「毎月いくら払うことになるのか」という点です。結論からお伝えすると、リースバックの家賃相場は「売却価格×期待利回り(年6〜13%)÷12カ月」で決まります。

注意したいのは、この計算式が周辺の家賃相場とは無関係だという点です。近所の似た物件が月10万円で借りられるとしても、リースバックの家賃が15万円になることは十分あり得ます。仕組みを知らずに契約すると、後から家計が苦しくなりかねません。

提示された家賃が高い気がするけど、これって適正なのか判断できなくて…

この記事では、リースバックの家賃相場を計算式と早見表で具体的に示したうえで、家賃が高くなる理由、安くするための交渉術、そして契約前に必ずやってほしい総支払額のシミュレーションまで解説します。数字で判断できるようになりますよ。

そもそもリースバックとはどういう仕組みなのか、全体像から確認したい方はリースバックとは?仕組み・メリットデメリット・注意点を先にご覧ください。

目次

リースバックの家賃相場はいくら?計算方法を解説

まずは家賃がどう決まるのか、その仕組みから押さえていきましょう。ここを理解すれば、提示された金額が妥当かどうか自分で判断できるようになります。

家賃は「売却価格×期待利回り÷12カ月」で決まる

リースバックの家賃は、積算法と呼ばれる方法で算出されます。計算式はいたってシンプルです。

リースバックの家賃計算式

毎月の家賃 = 売却価格(買取価格) × 期待利回り ÷ 12カ月

期待利回りとは、買主となる不動産会社が「この物件に投資して年間どれくらいの収益を見込むか」を示す数値です。たとえば売却価格2,000万円、期待利回り10%なら、年間の家賃は200万円、月額に直すと約16万7,000円という計算になります。

期待利回りの相場は年6〜13%

期待利回りの水準は、おおむね年6〜13%の範囲に収まります。都市部で駅に近く築年数の浅い物件ほど低く、地方や築古の物件ほど高くなる傾向です。利回りが低いほど家賃は安くなるので、利用者にとっては「利回りが低い=ありがたい」という関係になります。

ちなみに各社が設定している利回りの数値は、通常は公開されていません。だからこそ複数社から見積もりを取り、買取価格と家賃の組み合わせを見比べる作業が意味を持ちます。

【早見表】売却価格・利回り別の月額家賃

ご自身の想定売却価格に近い行を見れば、家賃のおよその水準がつかめます。

スクロールできます
売却価格利回り6%利回り8%利回り10%利回り13%
1,000万円月5.0万円月6.7万円月8.3万円月10.8万円
1,500万円月7.5万円月10.0万円月12.5万円月16.3万円
2,000万円月10.0万円月13.3万円月16.7万円月21.7万円
3,000万円月15.0万円月20.0万円月25.0万円月32.5万円

同じ2,000万円の売却でも、利回り6%なら月10万円、13%なら月21.7万円。倍以上の開きが出ます。この差こそ、会社選びと交渉に力を入れる価値がある理由です。

なぜリースバックの家賃は周辺相場より高くなるのか

「近所の賃貸より高いのはおかしいのでは」と感じる方は多いはずです。理由は3つあります。

周辺相場ではなく投資利回りで決まるから

通常の賃貸物件は、近隣の似た物件と比べて家賃を決める賃貸事例比較法が使われます。対してリースバックは、先ほどの積算法。つまりそもそも家賃の決め方が違うんです。周辺相場は参考程度にしか見られないため、結果として割高になりやすくなります。

買主が投資回収を前提としているから

買主である不動産会社にとって、リースバック物件は投資です。買取に使った資金を家賃収入で回収し、利益を出す必要があります。中古戸建ての一般的な期待利回りが6〜8%程度であるのに対し、リースバックでは10%を超える設定も珍しくありません。回収を急ぐほど、家賃は上がる構造になっています。

再販しにくいリスクが上乗せされるから

リースバック物件は入居者がいる状態での取引になるため、通常の中古物件より買い手が限られます。将来売りにくいというリスクを抱える分、そのリスク料が家賃に反映されるわけです。売主が住み続けることが確定しているため、多少割高でも契約が成立しやすいという事情も背景にあります。

高いのには理由があるんですね。ただ、理由を知っておけば「ここは交渉できる」というポイントも見えてきますよ。

家賃を左右する4つの要因

同じような家でも、条件によって家賃は変わります。何が影響するのかを知っておくと、見積もりを読み解く精度が上がるはずです。

売却価格

計算式のとおり、売却価格が高いほど家賃も上がります。「できるだけ高く売りたい」と考えるのが自然ですが、リースバックでは高く売るほど毎月の負担が重くなるという逆転現象が起きます。ここは後ほど交渉術の章で詳しく扱いましょう。

立地

都市部や駅近の物件は資産価値が安定しており、買主にとってのリスクが小さくなります。その分、期待利回りは低めに設定されるのが一般的です。逆に地方や交通の便が悪い物件では利回りが高くなり、家賃も上がりやすくなります。

築年数・物件種別

築浅の物件は将来の再販もしやすいため、利回りは低めに抑えられる傾向です。築古の戸建ては修繕リスクを見込んで利回りが高めに振れます。マンションは管理体制が整っていることから、戸建てより利回りが低くなるケースも見られます。

契約形態と契約期間

更新できる普通借家契約は借主の権利が強く保護される反面、買主にとっては物件を自由に扱えない期間が長引く点がネックです。そのため定期借家契約より家賃が高めに設定されることがあります。家賃の安さだけで定期借家契約を選ぶと、数年後に退去を求められる可能性がある点は忘れないでください。

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条件家賃が安くなりやすい家賃が高くなりやすい
売却価格低め高め
立地都市部・駅近地方・郊外
築年数築浅築古
契約形態定期借家契約普通借家契約

家賃を安くする4つの交渉術

提示された家賃は、決して動かせない金額ではありません。仕組みを踏まえた交渉で、月々の負担は下げられます。

交渉術1|買取価格を下げてもらう

もっとも効果が大きいのがこの方法です。家賃は売却価格に連動するため、あえて買取価格を低めにしてもらえば毎月の家賃は確実に下がります。利回り10%のケースで試算してみましょう。

スクロールできます
買取価格月額家賃年間家賃当初との差額
2,000万円月16.7万円200万円
1,800万円月15.0万円180万円年20万円の軽減
1,600万円月13.3万円160万円年40万円の軽減
1,400万円月11.7万円140万円年60万円の軽減

買取価格を200万円下げると、家賃は年20万円安くなります。ここで大切なのが損益分岐点の考え方です。手取りが200万円減る代わりに年20万円ずつ得をするので、10年以上住むなら買取価格を下げたほうが総額で有利になる計算です。

損益分岐点の求め方

損益分岐年数 = 100 ÷ 期待利回り(%)

  • 利回り6%の場合、約16.7年
  • 利回り10%の場合、10年
  • 利回り13%の場合、約7.7年

この年数より長く住む予定なら、買取価格を下げて家賃を軽くする戦略が有効です。

ただし住宅ローンの残債がある場合は、完済できる金額を下回らないよう注意してください。

交渉術2|期待利回りの低い会社を選ぶ

各社の利回り設定は公表されていませんが、複数社から見積もりを取れば逆算できます。「買取価格2,000万円で家賃13.3万円」なら利回り8%、「同じ2,000万円で家賃16.7万円」なら10%です。同じ売却価格で家賃が安い会社ほど、利回りを低く設定していることになります。最低でも3社は比較しましょう。

見積もりを取ったあと、どの項目をどう見比べればよいのかは下記の記事に整理しています。家賃以外の条件も含めた比較の物差しとしてお使いください。

交渉術3|支払える上限額を具体的な数字で示す

「もう少し安くなりませんか」という漠然とした依頼では、相手も動きようがありません。「毎月の支払いは12万円までに抑えたい」と具体的な数字を伝えると、買取価格や条件の調整で応じられる余地が生まれます。家計の状況を率直に共有したほうが、現実的な提案を引き出しやすくなるでしょう。

交渉術4|周辺の家賃相場を調べて材料にする

不動産ポータルサイトで、同じ地域・同程度の広さ・似た築年数の賃貸物件を検索すれば、周辺相場はすぐにつかめます。提示された家賃が相場より著しく高い場合、その資料を示して説明を求めましょう。根拠のある指摘には、多くの会社が誠実に応じてくれます。

契約前に必ずやるべき総支払額シミュレーション

月々の家賃だけを見ていると、判断を誤ります。何年住むつもりなのかを決めて、総額で考えてみてください。ここが本記事でもっともお伝えしたい部分です。

10年・20年住んだ場合の家賃総額を計算する

売却価格2,000万円、利回り10%(月16.7万円)のケースで計算してみましょう。

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居住期間家賃総額受け取った売却代金との比較
5年約1,000万円売却代金の半分を支払い
10年約2,000万円売却代金と同額を支払い
15年約3,000万円売却代金の1.5倍を支払い
20年約4,000万円売却代金の2倍を支払い

利回り10%ということは、10年で売却代金と同じ額を家賃として払う計算になります。20年住めば2倍です。この事実を知らないまま契約する方が、実は少なくありません。

10年で売ったお金と同じ額を払うことになるんですか…想像していませんでした。

売却価格と家賃総額のバランスを見る

この計算は、リースバックが悪い選択だという話ではありません。住み続けられる価値と資金化の必要性を、金額に置き換えて判断するための材料です。「5年後には施設に移る予定」なら総額1,000万円で済みますし、「あと20年は住みたい」なら別の方法も含めた再検討が必要になります。

居住予定年数を先に決めて、その期間の家賃総額を必ず出してください。そのうえで、通常の売却や他の資金調達方法と比較すれば、納得のいく判断につながるはずです。ご家族に資産を残す観点もあわせて考えたい方は、リースバックは相続対策になるのかもご確認ください。

家賃が払えなくなるとどうなるか

リースバック後は賃借人という立場になるため、家賃を滞納すれば通常の賃貸と同じ扱いになります。滞納が続けば契約を解除され、退去を求められます。自宅の所有権はすでに手放しているので、住む場所を失う結果になりかねません。

年金収入だけで払い続けられるか、医療費が増えても耐えられるか。将来の収入減も織り込んで、余裕を持った家賃設定にしておくことが何より大切です。

この支払い能力は、契約前の審査でも確認される項目です。どんな点が見られるのかを知っておくと、無理のない条件を自分から組み立てやすくなります。

家賃以外にも、契約後に「こんなはずじゃなかった」となりやすい落とし穴があります。後悔した人の共通点は下記の記事にまとめました。

家賃以外にかかる費用と、なくなる費用

住居費を正確に比較するには、家賃以外のお金の動きも押さえる必要があります。増える費用と減る費用の両方を見ていきましょう。

新たに発生する費用

賃貸借契約を結ぶ以上、敷金や礼金、保証会社の利用料が必要になる場合があります。契約更新のたびに更新料や再契約手数料が発生する会社もあるため、初期費用と継続費用の両方を確認しておきましょう。無料としている会社もあるので、ここも比較ポイントになります。

負担がなくなる費用

所有者ではなくなるため、固定資産税や都市計画税の支払いは不要になります。建物の火災保険料や、屋根・外壁などの大規模修繕費も所有者側の負担になるのが一般的です。マンションなら管理費や修繕積立金の扱いも確認しておくとよいでしょう。

差し引きで住居費を比べる

たとえば固定資産税が年12万円、修繕積立金が月1万円だった方なら、合計で年24万円の負担が消えます。家賃が月16.7万円(年200万円)なら、実質的な増加分は年176万円という見方ができます。単純に家賃だけを見て高いと判断する前に、この差し引きで計算してみてください。

見積もり時に確認したい費用項目
  • 敷金・礼金・保証会社利用料の有無
  • 更新料・再契約手数料の金額と頻度
  • 設備が故障した場合の修繕費の負担区分
  • マンションの管理費・修繕積立金の扱い

なお、住まいの傷みが気になっている方には、売却と同時にリノベーションを行う選択肢もあります。仕組みはリノベーション付きリースバックの解説記事でまとめました。

リースバックの家賃に関するよくある質問

リースバックの家賃は途中で値上げされることがありますか?

契約更新や再契約のタイミングで、値上げを提示される可能性はあります。契約書に賃料改定に関する条項があるかどうか、改定の条件は何かを必ず確認してください。長く住む予定なら、賃料を据え置く特約を交渉する価値もあります。

家賃が周辺相場より安くなることはありますか?

都市部で資産価値が高く、期待利回りが低く設定される物件では、周辺相場と同程度またはそれ以下になるケースもあります。ただし全体としては割高になる傾向が強いため、複数社の見積もりで比較することが欠かせません。

家賃を滞納するとどうなりますか?

通常の賃貸借契約と同じ扱いになり、滞納が続けば契約を解除されて退去を求められます。自宅の所有権はすでに手放しているため、住まいを失うリスクがあります。支払いが厳しくなりそうな段階で、早めに管理会社へ相談してください。

買取価格を下げれば家賃はどこまで安くなりますか?

買取価格と家賃は連動するため、価格を下げた割合と同じだけ家賃も下がります。利回り10%なら、買取価格を200万円下げると年間家賃が20万円軽くなる計算です。住宅ローンの残債を完済できる金額は確保したうえで交渉しましょう。

マンションと戸建てで家賃相場は違いますか?

計算式は同じですが、期待利回りの水準に差が出ます。マンションは管理体制が整っており再販もしやすいため利回りが低めになりやすく、築古の戸建ては修繕リスクを見込んで高めに設定される傾向です。

まとめ|家賃は「月額」ではなく「総額」で判断しよう

この記事のまとめ
  • 家賃の計算式は「売却価格×期待利回り÷12カ月」、利回り相場は年6〜13%
  • 周辺相場ではなく投資利回りで決まるため、割高になりやすい
  • 買取価格を下げれば家賃も下がる。損益分岐点は「100÷利回り」年
  • 利回り10%なら10年で売却代金と同額を家賃として支払う計算になる
  • 固定資産税や修繕費がなくなる分を差し引いて住居費を比較する

リースバックの家賃は、月額の数字だけを見ていると判断を誤ります。何年住むのかを決め、その期間の総支払額を計算したうえで、住み続けられる価値と天秤にかけてください。数字で比べれば、迷いはずいぶん減るはずです。

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