戸建てのリースバックは築古でも可能|査定が付く6条件と断られる家の特徴

「築40年の戸建てだけど、リースバックなんてできるんだろうか」。マンションの事例ばかり目にして、自分の家は対象外だと思い込んでいる方は多いはずです。実際、業者に問い合わせて「お取り扱いできません」と断られた、という相談も少なくありません。

先に結論をお伝えすると、戸建てのリースバックは築古でも可能です。法律上の築年数制限はありません。ただし、業者が断るのは築年数そのものではなく、耐震性・接道・土地の流動性といった別の理由であることがほとんど。この理由を知っていれば、どの業者に相談すべきか、何を整えれば査定が付くかが見えてきます。

この記事では、戸建てで査定が付く6つの条件、土地値と解体費で決まる買取価格の仕組み、マンションとの7つの違い、戸建て特有の落とし穴、そして旧耐震・再建築不可・借地権といった断られやすい家でも成立させる方法をまとめました。監修は、訳あり不動産を中心に1,500件以上の相談を解決してきた宅地建物取引士の桐生辰宏です。

大手に電話したら「築年数が古いので難しい」と言われました。もう無理なんでしょうか。

「築年数が古いので」は断り文句の定型で、本当の理由は別にあることが多いんです。何を見て断られたのかを整理すれば、次に相談すべき相手が変わります。

目次

戸建てのリースバックは可能?結論と「断られやすい戸建て」の傾向

リースバックは、自宅を業者に売却し、その業者と賃貸借契約を結んで住み続ける仕組みです。戸建てでもマンションでも、この基本は変わりません。ただ、業者の側から見ると戸建ては「転売しにくい要素」を抱えやすく、その分だけ選別が厳しくなります。

築年数の制限は法律上存在しない

まず誤解を解いておくと、「築○年以上はリースバックできない」という法律や業界ルールはありません。業者ごとに「築30年まで」「旧耐震は不可」といった社内基準を設けているだけです。ある業者に断られても、別の業者では査定が付くことは珍しくありません。

業者が断る本当の理由は「築年数」ではなく3つの要素

相談の現場で「築年数を理由に断られた」という家の実態を確認すると、断られた理由はほぼ次の3つのどれかに行き着きます。

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本当の理由具体的な状態業者が嫌う背景
①耐震性1981年5月以前の建築確認(旧耐震基準)転売時に買い手の住宅ローンが付きにくく、耐震補強費が読めない
②土地の流動性地方・郊外、駅から遠い、周辺に空き家が多い退去後に転売できるまでの期間が長く、値下がりリスクが大きい
③権利・法規制の問題再建築不可、借地権、共有名義、未登記増築、境界未確定転売先が限られる、または売買そのものに手続きが必要

つまり、築40年でも新耐震で駅近、権利関係が整っていれば査定は付きます。逆に築25年でも再建築不可なら断られる。「築年数」は表向きの理由で、業者が本当に見ているのは転売できるかどうかです。この視点は、次の6条件を読むうえでの前提になります。

リースバックの基本的な仕組みは、以下のピラー記事で整理しています。

築古の戸建てでもリースバックの査定が付く6つの条件

戸建てのリースバックで業者が査定時に確認するポイントを、重要な順に6つ挙げます。すべてを満たす必要はありませんが、当てはまる数が多いほど査定は付きやすく、価格も上がります。

条件①土地に流動性がある(駅距離・エリアの需要)

築古戸建ての価値はほぼ土地で決まるため、その土地が「売れる場所か」が最初の関門です。駅徒歩15分以内、周辺で戸建ての取引が年に何件かある、というエリアなら問題ありません。逆に、駅から車で20分、近所に空き家が目立つ地域では、どれだけ家の状態が良くても断られやすくなります。

条件②接道義務を満たし、建て替えができる

建築基準法では、幅4m以上の道路に2m以上接していない土地には建物を建て替えられません。こうした「再建築不可」の土地は買い手が現金購入の投資家などに限られるため、多くのリースバック業者が対象外にしています。前面道路の幅と接道の長さは、査定前に自分でも確認しておいてください。

条件③境界が確定している

隣地との境界杭がなく、測量図もない戸建ては意外と多いものです。境界が曖昧だと転売時にトラブルになるため、業者は確定測量を条件にするか、その費用(30万〜80万円程度)を買取価格から差し引きます。古い家ほど境界が未確定のことが多いので、確認しておく価値があります。

条件④未登記の増築がない

後から部屋を増やした、車庫を建てた。こうした増築が登記されていないと、登記上の建物と現況が一致せず、売買の前に登記の手続きが必要になります。手続き自体は可能ですが、増築部分が建ぺい率や容積率を超えていると「違反建築」となり、査定に響きます。

条件⑤新耐震基準、または耐震補強済み

1981年6月以降に建築確認を受けた新耐震基準の家であれば、築年数が古くても多くの業者が対象にします。旧耐震の家でも、耐震診断を受けて補強工事をしていれば話は別。補強の記録がある家は、旧耐震でも査定が付く可能性が上がります。

条件⑥住宅ローンの残債が買取価格を下回る

これは戸建てに限りませんが、売却代金でローンを完済し抵当権を抹消できないと、リースバックは成立しません。築古戸建ては買取価格が土地値ベースで低くなりやすいため、残債が残っている方はこの条件に引っかかりやすいのが実情です。残債が上回る場合の対処法は以下の記事で解説しています。

審査全般の基準と必要書類は、こちらの記事にまとめています。

戸建てのリースバック買取価格はどう決まる?土地値と解体費の関係

戸建ての買取価格は、マンションとは計算の出発点が違います。ここを知らずに査定額を見ると「安すぎる」と感じるだけで終わってしまうので、業者の頭の中を覗いておきましょう。

築20年を超えると建物価値はほぼゼロ、評価は土地値ベース

木造戸建ての建物は、税務上の耐用年数が22年で、不動産市場でも築20〜25年を過ぎると建物にはほとんど値が付きません。査定は「土地がいくらか」から始まり、建物は加点にも減点にもなり得るおまけ、という扱いです。

更地想定なら「土地値−解体費−諸経費」で計算される

業者が「退去後は建物を壊して土地として売る」と想定する場合、買取価格の計算はこうなります。

更地転売を想定した買取価格の考え方

買取価格 ≒ 土地の転売想定価格 − 建物の解体費 − 保有中のコスト − 諸経費・利益

  • 木造30坪の解体費は150万〜250万円が目安。狭い道路で重機が入らないと割増になる
  • 土地値2,500万円の家なら、解体費200万円と諸経費・利益を引いて1,600万〜1,800万円程度
  • 市場価格(土地値)に対しては6.5〜7割。これが「築古戸建ては6〜7割」と言われる根拠

建物を活かして転売する想定なら価格は上がる

一方で、退去後にリフォームして中古住宅として売る想定なら、解体費を引く必要がありません。代わりにリフォーム費を引きますが、建物の状態が良ければリフォーム費の方が解体費より安く済み、転売価格も土地値より高く見込めます。同じ土地値の家でも、業者が「壊す」と見るか「活かす」と見るかで、買取価格は数百万円変わるのです。

この差を最初から「活かす」側に寄せるのが、後半で紹介するリノベーション前提のリースバックです。買取価格の相場全般と査定額の検証方法は、以下の記事で解説しています。

戸建てとマンションのリースバック7つの違い

「戸建てはマンションより不利」と言われがちですが、有利な面もあります。7項目で並べると、判断の材料がそろいます。

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項目戸建てマンション
①評価の基礎土地値が中心。建物は築20年超でほぼゼロ専有部分の市場価格。築古でも管理状態次第で値が残る
②買取価格の割合(市場価格比)6〜7割。訳あり物件は5〜6割7〜8割
③管理費・修繕積立金なし。家賃に上乗せされる固定費が少ない業者負担だが家賃に転嫁される
④修繕負担の重さ屋根・外壁・シロアリなど建物本体の修繕が発生しやすい共用部は管理組合。専有部の設備のみ
⑤査定にかかる期間境界・接道・増築の確認で1〜2週間かかることも数日で出ることが多い
⑥転売のしやすさ(業者目線)エリア次第で幅が大きい比較的安定
⑦業者の対応範囲旧耐震・地方・訳あり物件は断る業者が多い大半の業者が対応

戸建てが不利な点と、実は有利な点

不利なのは②⑤⑦。買取割合が低く、査定に時間がかかり、そもそも受けてくれる業者が少ない。一方で③は戸建ての明確な強みです。マンションでは業者が払う管理費と修繕積立金が家賃に織り込まれ、月2〜3万円分の家賃上乗せになることも。戸建てにはこの固定費がないため、同じ買取価格なら家賃を抑えやすい構造です。

マンション側の事情は、以下の記事で管理費・修繕積立金の扱いを含めて解説しています。

戸建てのリースバックで注意すべき3つの落とし穴

戸建て特有の注意点を3つに絞ります。どれも契約書を確認すれば防げるものですが、マンションの解説記事には出てこない論点です。

落とし穴①修繕負担が重い(屋根・外壁・シロアリ・給排水管)

リースバックの契約では、修繕を借主負担とする特約が付くことが多く、築古戸建てではこの負担が現実の金額になります。外壁塗装100万円超、屋根補修数十万円、シロアリ防除20万円台。10年住めば合計300万円前後に達することも珍しくありません。屋根・外壁・構造といった建物本体は貸主負担とする線引きを契約前に求めてください。負担区分の考え方と法律上の限界は、以下の記事で詳しく解説しています。

落とし穴②火災保険・地震保険の空白

売却後、建物の火災保険は所有者である業者が掛け直します。このとき、それまで自分で入っていた保険を解約するタイミングを間違えると、引渡し前後に無保険の期間ができることがあります。加えて、業者が地震保険に入っていないケースもあり、地震で家が損壊した場合の再建は業者の判断次第。借主としては家財保険と借家人賠償責任保険への加入を求められるので、保険の切り替え日を業者と確認してください。

落とし穴③土地の一部だけ残す・庭や車庫の扱い

「庭の一部は家庭菜園として手元に残したい」「車庫は別の用途に使いたい」といった希望は、原則として通りません。リースバック業者は土地建物を一体で買い取り、一体で転売する前提だからです。土地を分筆して一部だけ売る方法は理屈上ありますが、対応する業者はごくわずか。庭や車庫の使い方に制限が付くかどうかも、賃貸借契約の「用法」の条項で確認しておきましょう。

断られやすい戸建てでもリースバックを成立させる方法

ここからが本題です。旧耐震、再建築不可、借地権、共有名義。一般の業者が敬遠するこれらの戸建てでも、事情に合った対処をすればリースバックは成立します。

旧耐震の戸建て|耐震診断と補強の記録が交渉材料になる

旧耐震を一律で断る業者がある一方、建物の状態を個別に見る業者もあります。自治体の補助を使って耐震診断を受けておく、過去に補強工事をしていればその記録を用意する。この2つで「旧耐震だから」という断り文句に反論できます。診断の結果、補強が必要と出た場合も、次に紹介するリノベーション前提の条件なら、補強を含めて業者側で計画できることがあります。

再建築不可の戸建て|「壊さずに活かす」業者を探す

再建築不可の土地は建て替えができないため、「更地にして売る」前提の業者にとっては価値がほぼありません。逆に、既存の建物をリフォームして貸す・売る前提の業者なら、評価の仕方がまったく変わります。再建築不可の家を専門に再生している会社に相談するのが近道で、条件次第では市場価格の6割前後の査定が付くこともあります。再建築不可の基礎知識と活用法は以下の記事にまとめました。

借地権付きの戸建て|地主の承諾を先に取り付ける

土地が借地の場合、建物と借地権を売却するには地主の承諾が必要で、承諾料(借地権価格の1割程度が慣例)も発生します。業者が借地権付きを断る理由は、この承諾が取れるか分からないから。先に地主へ相談し、売却と賃貸への転用について承諾の見込みを立てておけば、業者との話が進みます。借地権の売却については以下の記事を参照してください。

共有名義の戸建て|全員の同意が前提

相続で兄弟の共有名義になっている実家などは、共有者全員の同意がなければ売却できません。同意が取れない場合は、自分の持分だけを売る方法もありますが、リースバックとしては成立しにくいのが実情です。まず共有者と話し合い、売却代金の分け方と、誰が住み続けて家賃を払うのかを整理してから業者に相談してください。

築古戸建てと相性がいい「リノベーション付きリースバック」

ここまで挙げた戸建ての弱点、つまり買取価格が土地値ベースで低い、修繕負担が重い、業者が転売リスクを嫌う、という3つを同時に解消する方法があります。売却と同時に業者がリノベーションを行い、生まれ変わった家に住み続ける「リノベーション付きリースバック」です。

  • 買取価格。業者は「壊す」ではなく「活かす」前提で転売価格を置くため、更地想定より条件を組みやすい
  • 修繕負担。売却時に屋根・外壁・水回りを業者側の費用で改修するため、住んでいる間の修繕がほぼ発生しない
  • 耐震性。旧耐震の家でも、リノベーションに耐震補強を含めて計画できる
  • 対象物件。再建築不可や借地権付きなど、一般の業者が断る戸建てにも対応

戸建てのリースバックで「断られた」「査定が安すぎる」と感じた方ほど、この選択肢が当てはまりやすいはずです。

戸建ては「業者に断られた=リースバックできない」ではありません。断った業者の転売想定に合わなかっただけで、別の想定で見る業者なら結論が変わります。

戸建てのリースバックに関するよくある質問

築50年の戸建てでもリースバックできますか?

築年数だけを理由に不可になることはありません。土地に需要があり、接道・境界・権利関係に問題がなければ、築50年でも土地値ベースで査定が付きます。旧耐震基準の建物になるため対応する業者は限られますが、建物を活かす前提で再生する業者であれば相談できます。

旧耐震を理由に断られました。他に方法はありますか?

旧耐震を一律で対象外にする業者は多いですが、個別に建物の状態を見る業者もあります。自治体の補助制度を使って耐震診断を受け、結果を提示すると交渉しやすくなります。補強が必要な場合でも、リノベーションに耐震補強を組み込む前提のリースバックなら成立し得るでしょう。

土地だけ売って建物は自分の名義で残せますか?

理屈上は土地のみの売却と借地契約の組み合わせで可能ですが、リースバック業者は土地建物を一体で買い取って転売する前提のため、対応する業者はほとんどありません。土地だけを現金化したい場合は、リースバックではなく借地権の設定や親族間での売買など別の方法を検討することになります。

親名義の実家をリースバックして、親がそのまま住むことはできますか?

売主は名義人である親本人になるため、親の意思と判断能力が前提です。親が契約内容を理解して同意できる状態であれば、子どもが手続きをサポートする形で進められます。認知症などで判断能力に不安がある場合は、成年後見制度を利用したうえで家庭裁判所の許可が必要になり、手続きが長期化する点に注意してください。

二世帯住宅や店舗併用住宅でもリースバックできますか?

可能ですが、一般的な戸建てより対応する業者は絞られます。二世帯住宅は転売時の買い手が限られるため査定が抑えられやすく、店舗併用住宅は店舗部分の用途や賃貸借の扱いを別途整理する必要があります。区分登記されている場合は名義や売却範囲の確認も必要なので、事前に登記の状態を確認してから相談してください。

まとめ|戸建てのリースバックは「築年数」より「転売できるか」で決まる

戸建てのリースバックは築古でも可能で、業者が断る本当の理由は耐震性・土地の流動性・権利関係の3つに集約されます。査定は土地値ベースになり、業者が「壊す」と見るか「活かす」と見るかで買取価格は数百万円変わる。この構造を知っていれば、断られたときに次の一手が見えてきます。

この記事のまとめ
  • 築年数の制限は法律上なく、断られる理由は旧耐震・土地の流動性・再建築不可などの権利問題
  • 査定が付く条件は、土地の需要・接道・境界確定・未登記増築なし・耐震性・残債の6つ
  • 築20年超は土地値ベース。更地想定なら「土地値−解体費」、建物を活かす想定なら価格は上がる
  • マンションより買取割合は低いが、管理費・修繕積立金の上乗せがなく家賃を抑えやすい
  • 修繕負担・保険の空白・土地の分割不可に注意。旧耐震や再建築不可はリノベーション前提の業者へ

株式会社CLOUD HOMeでは、宅地建物取引士が1,500件以上の訳あり不動産を扱ってきた経験をもとに、再建築不可・借地権・旧耐震の戸建てを含めてリノベーション前提のリースバックをご提案しています。他社に断られた家でも、まずは現状をお聞かせください。



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