リースバックにかかる費用一覧|手数料・登記・引越し不要分まで手残り額で解説

リースバックで家を売ると、費用はいくらかかるのか。仲介手数料は本当にゼロなのか、手元にはいくら残るのか。売却代金の数字は分かっても、そこから何が引かれるのかが見えないと、資金計画は立てられませんよね。

先に結論をお伝えすると、業者が直接買い取るリースバックなら、売却時にかかる諸費用は印紙税と登記費用を合わせて5〜10万円程度です。仲介手数料もかかりません。ただし、この「表面の費用」だけを見て判断すると失敗します。本当に見るべきは、諸費用を引いたあとの手残り額と、諸費用には表れない「見えないコスト」です。

この記事では、リースバックの費用を売却時・賃貸開始時・賃貸中・買戻し時の4段階で一覧化し、仲介手数料がゼロになる仕組みとその裏側、手残り額の計算式と3つのケース試算、引越し不要分を含めた通常売却との手残り比較、見えないコストまで整理しました。監修は、訳あり不動産を中心に1,500件以上の相談を解決してきた宅地建物取引士の桐生辰宏です。

「手数料は一切かかりません」と言われました。それなら仲介で売るより得ですよね?

手数料ゼロは事実ですが、その分は買取価格に織り込まれています。手数料の有無ではなく、最後に手元に残る金額で比べないと判断を誤りますよ。

リースバックの仕組み全体を先に確認したい方は、以下のピラー記事からどうぞ。

目次

リースバックにかかる費用一覧|4つの段階で整理

リースバックは「売る」「借り始める」「住み続ける」「買い戻す」の4段階を通ります。それぞれでかかる費用を、必ずかかるもの・業者次第のもの・契約次第のものに分けて一覧にしました。

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段階費用の種類区分金額の目安
①売却時印紙税必ずかかる1万円(売買価格1,000万円超5,000万円以下)
抵当権抹消の登録免許税・司法書士報酬ローンがある場合2〜3万円
ローン繰上返済手数料ローンがある場合0〜5万円程度(金融機関による)
仲介手数料業者次第直接買取は0円。仲介型は売買価格の3%+6万円+消費税
事務手数料・調査費用業者次第0〜数万円
②賃貸開始時敷金・礼金業者次第0〜家賃2か月分
保証委託料業者次第家賃の0.5〜1か月分
火災保険(家財+借家人賠償)ほぼ必ずかかる年1〜2万円
仲介手数料(賃貸)業者次第0〜家賃1か月分
③賃貸中家賃必ずかかる売却価格×利回り6〜13%÷12
更新料または再契約時の費用契約次第家賃0.5〜1か月分、再契約なら礼金・保証料が再発生も
修繕費契約次第設備交換で10〜40万円/件
④買戻し時登録免許税・司法書士報酬必ずかかる10〜20万円
不動産取得税必ずかかる評価額×3%(軽減あり)
印紙税必ずかかる1万円程度

表を見ると分かるとおり、「必ずかかる」費用は意外と少なく、金額を大きく左右するのは「業者次第」「契約次第」の項目です。だからこそ、業者選びと契約書の確認が費用の話に直結します。

売却時にかかる譲渡所得税と、3,000万円控除でゼロになる条件については、税金に絞った記事で解説しています。

リースバックに仲介手数料はかかる?「ゼロ」の裏側

「リースバックは仲介手数料がかからない」とよく言われます。これは半分正しく、半分は説明が足りていません。

直接買取型なら仲介手数料はゼロ

仲介手数料は、売主と買主の間に入って取引をまとめた仲介業者に払う報酬です。リースバック業者があなたの家を直接買い取る場合、間に誰も入らないので仲介手数料は発生しません。3,000万円の家なら、仲介なら約105万円(3%+6万円+消費税)かかるところがゼロ。これは事実です。

仲介型・一括査定経由では発生することがある

ただし、すべてのリースバックが直接買取ではありません。地元の不動産会社が「リースバックできる買主を探す」という仲介の形で関わる場合や、一括査定サイト経由で紹介された業者が仲介型だった場合は、通常の仲介手数料がかかります。「リースバックだから手数料はない」と思い込まず、その業者が買主なのか仲介なのかを最初に確認してください。

手数料ゼロの分は買取価格に織り込まれている

ここが本題です。直接買取の業者は、市場価格の6〜8割で買い取り、将来転売して利益を出します。手数料を取らないのは親切だからではなく、買取価格そのものに業者の利益が含まれているからです。3,000万円の家を2,100万円で買い取る業者は、手数料105万円を取らない代わりに、900万円の値引きを受けている。そう考えると、手数料の有無で損得を判断する意味はほぼありません。

比べるべきは「売却価格−諸費用=手残り」の金額と、そこに引越し不要などの条件をどう評価するかです。買取価格がどう決まるかは以下の記事で解説しています。

売却時にかかる費用の内訳と金額目安

直接買取の場合、売却時の諸費用は次の3つが中心です。合計で5〜10万円程度に収まることがほとんどですが、戸建てでは追加の費用が出ることもあります。

印紙税|売買契約書に貼る収入印紙

売買契約書には契約金額に応じた印紙税がかかります。1,000万円超5,000万円以下なら1万円、5,000万円超1億円以下なら3万円(いずれも2027年3月末までの軽減措置適用時)。売主と買主で1通ずつ作成し、自分の分の印紙代を負担するのが一般的です。

抵当権抹消費用|住宅ローンが残っている場合

ローンを完済して抵当権を外す登記が必要です。登録免許税は不動産1件につき1,000円(土地と建物で2,000円)、司法書士への報酬が1〜2万円程度。加えて、金融機関によっては繰上返済の手数料が数千円〜5万円程度かかります。ローンの残債が売却価格を上回る場合は、そもそも抹消ができず別の手続きが必要になります。

業者によってかかる事務手数料・調査費用

一部の業者は「事務手数料」「調査費用」の名目で数万円を請求します。無料の業者が多いので、査定時に「売却にあたって御社に払う費用はありますか」と一言聞いておくと安心です。金額よりも、費用の存在を後出しされるかどうかが業者の誠実さを測る目安になります。

戸建てで発生しやすい測量費・登記費用

境界が確定していない戸建てでは、確定測量に30万〜80万円かかることがあります。増築部分が未登記なら、建物表題変更登記に5万〜10万円。業者が買取価格から差し引く形で処理することも多いので、査定額を見るときに「測量費込みか」を確認してください。

賃貸開始時・賃貸中にかかる費用

売却が終わると、今度は借主として費用がかかります。通常の賃貸と同じ項目ですが、リースバックでは業者によって免除されるものと、逆に借主負担が重くなるものがあります。

敷金・礼金・保証委託料

敷金・礼金は業者によって「なし」から「家賃2か月分」まで幅があります。大手ではゼロにしている会社も多い一方、退去時の原状回復費用を後から請求される形になる点は覚えておいてください。保証会社を使う場合の保証委託料は家賃の0.5〜1か月分が相場で、こちらは免除されにくい費用です。

火災保険(家財保険+借家人賠償責任保険)

建物の火災保険は所有者である業者が掛けますが、借主は家財の保険と、借りている家に損害を与えたときの借家人賠償責任保険への加入を求められます。年1〜2万円程度。契約の条件になっていることがほとんどなので、これは「必ずかかる」側の費用です。

更新料または再契約時の費用

普通借家契約なら、更新のたびに家賃0.5〜1か月分の更新料がかかる契約が一般的です。定期借家契約の場合は更新がなく再契約になるため、礼金・仲介手数料・保証委託料が新規契約として再発生することがあります。2年ごとに家賃2〜3か月分が飛ぶ計算になるので、契約の種類は費用面でも重要です。

修繕費|契約次第で最も差が出る費用

給湯器やエアコンの交換で1件10〜40万円。築古戸建てで修繕を借主負担にする契約なら、10年で300万円前後になることもあります。諸費用の中で最も金額が大きく、最も見落とされやすい項目です。負担区分の考え方は以下の記事で解説しています。

リースバックの手残り額の計算方法|3つのケースで試算

費用の内訳が分かったところで、実際に手元に残る金額を計算してみましょう。式はシンプルです。

手残り額の計算式

手残り額 = 売却価格 − 住宅ローン残債 − 売却時の諸費用 + 固定資産税の精算金 − 賃貸開始時の初期費用

  • 固定資産税の精算金は、引渡し日以降の分を買主が日割りで負担し、売主が受け取るもの
  • 譲渡所得税が発生する場合は翌年の確定申告後に別途納税(3,000万円控除でゼロになることが多い)

市場価格3,000万円の家を7割の2,100万円で売却する前提で、ローン残債の違いによる手残りを3つ並べます。諸費用は印紙税1万円+抵当権抹消3万円、固定資産税精算金は7万円、初期費用は保証料と火災保険で10万円とします。

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項目ケースA 残債なしケースB 残債1,000万円ケースC 残債1,900万円
売却価格2,100万円2,100万円2,100万円
ローン残債0円−1,000万円−1,900万円
売却時の諸費用−1万円−4万円−4万円
固定資産税精算金+7万円+7万円+7万円
賃貸開始時の初期費用−10万円−10万円−10万円
手残り額約2,096万円約1,093万円約193万円

ケースCを見てください。売却価格2,100万円でも、手残りは200万円を切ります。この状態で家賃17万円を払い続けるなら、1年で手残りが消えます。「売却代金がいくらか」ではなく「残債を引いていくら残るか」で、リースバックが自分に合うかを判断してください。

手残りを増やす3つの方法

  • 複数社の査定を並べて売却価格を上げる。諸費用を数万円削るより、売却価格を100万円上げる方がはるかに効く
  • 敷金・礼金・事務手数料が無料の業者を選ぶ。初期費用で10〜30万円の差になる
  • 固定資産税の精算条項を確認する。起算日(1月1日か4月1日か)で精算額が変わる。契約書に精算の記載がないと受け取れないこともある

リースバックだから不要になる費用|通常売却との手残り比較

「買取価格が安いから損」という見方は、リースバックで不要になる費用を無視しています。通常売却なら必ずかかる費用を金額にして、手残りで並べてみましょう。

引越し費用・仮住まい・仲介手数料・固定資産税がかからない

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通常売却でかかる費用金額の目安リースバックでは
仲介手数料売買価格の3%+6万円+消費税(3,000万円で約105万円)直接買取なら0円
引越し費用家族4人・近距離で15〜30万円0円(引っ越さない)
新居の初期費用(賃貸の場合)敷金・礼金・仲介手数料・保証料で家賃4〜6か月分0〜2か月分(業者次第)
仮住まいの家賃(売り先行の場合)2〜3か月分0円
不用品処分・家具の買い替え10〜30万円0円
固定資産税・都市計画税(翌年以降)年10〜20万円0円(所有者が業者になる)

引越しと新居の初期費用だけで、手残り換算で100〜150万円相当の差になります。仲介手数料の約105万円を加えれば、200万円を超える差です。

3,000万円の家で通常売却とリースバックの手残りを並べる

市場価格3,000万円、ローン残債1,000万円の家を、仲介で3,000万円で売って賃貸に住み替える場合と、リースバックで2,100万円で売って住み続ける場合を比べます。

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項目通常売却+賃貸へ住み替えリースバック
売却価格3,000万円2,100万円
ローン残債−1,000万円−1,000万円
仲介手数料−105万円0円
印紙税・登記費用−4万円−4万円
引越し・不用品処分−40万円0円
新居の初期費用(家賃15万円×5か月)−75万円−10万円
固定資産税精算金+7万円+7万円
手残り額約1,783万円約1,093万円
差額約690万円(通常売却が多い)

売却価格の差900万円が、費用の違いで690万円まで縮まりました。それでも通常売却の方が690万円多い。この690万円を「住み慣れた家に住み続ける」「近所に知られずに済む」「売却活動の手間と期間がない」という条件と引き換えにできるか。それがリースバックを選ぶかどうかの本質的な判断です。

なお、この比較は通常売却で3,000万円で売れる前提です。再建築不可や借地権付きの家で仲介の買い手が付かない場合は、比較の前提自体が変わります。

表面の諸費用より大きい「見えないコスト」4つ

諸費用5〜10万円という数字に安心する前に、費用として計上されない4つのコストを確認してください。金額ではこちらの方がはるかに大きくなります。

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見えないコスト金額の規模抑える方法
①買取価格の値引き分市場価格の2〜4割(3,000万円なら600〜1,200万円)複数社比較。訳あり物件は専門業者へ
②賃貸相場より割高な家賃月2〜5万円、10年で240〜600万円売却価格を下げて家賃を抑える交渉
③再契約時の費用再発生2年ごとに家賃2〜3か月分普通借家契約か、再契約条件を書面化
④修繕費の借主負担築古戸建てで10年300万円前後建物本体は貸主負担で線引き

とくに②は見落とされがちです。家賃は「売却価格×利回り」で決まるため、周辺の賃貸相場より高くなるのが普通。この差額は毎月払い続ける「費用」です。家賃の相場と交渉方法は以下の記事で解説しています。

諸費用ゼロを売りにする業者の中には、その分を家賃や修繕特約で回収している会社もあります。「安い」と感じたら、どこで回収されているかを探す癖をつけてください。

業者を比較するときに見るべき10のポイントは、以下の記事にまとめています。

リースバックの費用に関するよくある質問

リースバックの査定に費用はかかりますか?

ほとんどの業者で査定は無料です。机上査定・訪問査定とも費用を請求されることは通常ありません。査定を受けても契約の義務は生じないため、複数社に依頼して条件を比較してください。査定の段階で費用を請求する業者は避けた方が安全です。

諸費用は売却代金から引かれますか?現金で用意する必要がありますか?

印紙税や登記費用、ローンの繰上返済は、決済時に売却代金から精算されるのが一般的で、事前に現金を用意する必要はほとんどありません。賃貸開始時の保証委託料や火災保険料も、決済時にまとめて精算する業者が多いです。念のため、決済当日の資金の流れを事前に業者へ確認してください。

一括査定サイトを使うと費用はかかりますか?

一括査定サイトの利用自体は無料です。ただし、紹介される業者が直接買取型か仲介型かで、その後の費用が変わります。仲介型の場合は売買価格の3%+6万円+消費税の仲介手数料が発生することがあるため、紹介された業者ごとに「御社が買主になるのか、買主を探すのか」を確認してください。

敷金・礼金ゼロの業者は安心ですか?

初期費用が抑えられる点では利用者に有利ですが、それだけで安心とは言えません。敷金がない場合、退去時の原状回復費用は後日請求される形になります。また、初期費用を無料にする代わりに家賃や修繕特約で回収している業者もあるため、家賃の利回りと修繕負担の区分をあわせて確認してください。

買い戻すときにはどんな費用がかかりますか?

買戻しは新たな不動産の取得なので、所有権移転の登録免許税と司法書士報酬で10〜20万円、不動産取得税が評価額の3%(軽減措置適用時)、売買契約書の印紙税が1万円程度かかります。買戻し価格自体が売却価格の1.1〜1.3倍になることと合わせて、合計で数十万円から百万円超の資金が必要です。

買戻しの条件と契約で必要な権利については、以下の記事で解説しています。

まとめ|リースバックの費用は「諸費用」より「手残り」と「見えないコスト」で見る

リースバックの売却時の諸費用は、直接買取なら5〜10万円程度と少額です。仲介手数料もかかりません。ただし手数料ゼロの分は買取価格に織り込まれており、本当に比べるべきは残債と諸費用を引いた手残り額と、家賃や修繕費といった見えないコストです。通常売却より手残りが少なくなる分を、住み続けられる価値と引き換えにできるかで判断してください。

この記事のまとめ
  • 売却時の諸費用は印紙税・登記費用で5〜10万円。直接買取なら仲介手数料はゼロ
  • 手数料ゼロは買取価格に織り込まれている。仲介型・一括査定経由では手数料が発生することも
  • 手残り=売却価格−残債−諸費用+固定資産税精算金−初期費用。残債の大きさで数百万円変わる
  • 引越し・新居初期費用・仲介手数料が不要な分は200万円超に相当。通常売却との差はそれでも残る
  • 買取価格の値引き・割高な家賃・再契約費用・修繕費の4つが、諸費用よりはるかに大きい見えないコスト

株式会社CLOUD HOMeでは、宅地建物取引士が1,500件以上の訳あり不動産を扱ってきた経験をもとに、リースバックと通常買取の両方について、諸費用を差し引いた手残り額でご提案しています。「他社の査定で手元にいくら残るのか分からない」という段階のご相談も歓迎です。

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