リースバックの流れを調べ始めた方がまず知りたいのは、「申し込んでから、いつお金が手に入るのか」ではないでしょうか。医療費や事業資金、ローンの返済など、資金が必要な時期が決まっていると、手続きにかかる日数は切実な問題です。
先に結論をお伝えすると、リースバックの流れは7つのステップで、申込から現金化までは最短1〜2週間、標準的には1〜2か月です。お金が入るのは、売買の決済と引渡しを行う日。ただし住宅ローンの完済手続きや書類の不備があると、3か月以上かかることもあります。
この記事では、7つのステップごとの日数を最短と標準で示したスケジュール表、お金が入るタイミング、段階別の必要書類チェックリスト、期間が延びる7つの原因と対処法、急いで現金化したいときに期間を縮めるコツ、引渡し後の手続きまで整理しました。監修は、訳あり不動産を中心に1,500件以上の相談を解決してきた宅地建物取引士の桐生辰宏です。

来月末までにまとまったお金が必要です。今から申し込んで間に合いますか?



書類がそろっていてローンの完済手続きも早めに進められれば、十分に間に合う可能性があります。どこで時間がかかるかを先に知っておくのが近道ですよ。
リースバックは申込から現金化まで何日かかる?結論
リースバックの所要期間は、物件や本人の状況によって大きく変わります。目安を3つのケースに分けると、次のとおりです。
| ケース | 申込から現金化まで | 主な条件 |
|---|---|---|
| 最短 | 1〜2週間 | 住宅ローンなし、書類がそろっている、1社に絞って即決 |
| 標準 | 1〜2か月 | 住宅ローンの完済あり、複数社を比較してから決める |
| 長引く場合 | 3か月以上 | 相続登記が未了、共有者の同意待ち、境界の確定が必要など |
通常の仲介で家を売ると、買い手探しを含めて3〜6か月かかるのが一般的です。リースバックは業者が直接買い取るため、買い手を探す期間がなく、そのぶん短く済みます。リースバックの仕組みそのものは、以下のピラー記事で整理しています。


リースバックの流れ7ステップと各ステップの日数
相談から家賃の支払いが始まるまでを7つのステップに分け、それぞれにかかる日数をまとめました。
| ステップ | 内容 | 最短 | 標準 | 自分でやること |
|---|---|---|---|---|
| ①相談・簡易査定 | 電話やWebで物件情報を伝え、概算の買取価格と家賃を聞く | 当日〜1日 | 2〜3日 | 住所・面積・築年数・ローン残高を手元に用意 |
| ②訪問査定 | 担当者が現地で建物と周辺を確認する | 1日 | 1週間 | 日程調整、権利証やリフォーム履歴の準備 |
| ③条件提示と比較 | 正式な買取価格・家賃・契約の種類が提示される | 1〜2日 | 1〜2週間 | 複数社の条件を並べて比較 |
| ④保証会社の審査 | 家賃の支払い能力を保証会社が審査する | 1日 | 3〜5日 | 申込書と本人確認書類、収入の証明を提出 |
| ⑤売買契約・賃貸借契約 | 重要事項の説明を受け、2つの契約を結ぶ | 1日 | 1週間 | 契約書の確認、実印と印紙の準備 |
| ⑥決済・引渡し | 売却代金を受け取り、所有権を移す。ローンがあれば同日に完済 | 契約から数日 | 2〜4週間 | ローンの一括返済申込、決済書類の準備 |
| ⑦家賃支払いの開始 | 借主として同じ家に住み続ける | 決済日から | 決済日から | 家賃の引落口座の設定 |
①〜③|査定と条件比較は「急ぐほど1社で決めがち」に注意
簡易査定は電話やWebで当日中に出ることも多く、訪問査定を経て正式な条件が出るまでは早ければ数日です。期間を縮めたい気持ちから1社目で決めてしまう方は多いのですが、業者によって買取価格は数百万円、家賃は月数万円変わります。2〜3社に同時に査定を依頼すれば、比較にかかる日数はほとんど増えません。業者を比べるときのポイントは、以下の記事にまとめています。


④保証会社の審査|年金収入でも通るよう準備しておく
リースバック後は借主になるため、家賃を払えるかを保証会社が審査します。年金生活の方は年金振込通知書、自営業の方は確定申告書の控えなど、収入を示す書類を先に用意しておくと審査が早く進みます。審査で見られる点と落ちる原因は、以下の記事にまとめました。


⑤売買契約・賃貸借契約|契約書は事前にもらって読んでおく
契約の当日に初めて契約書を読むと、確認しきれないまま署名することになりがちです。契約日の数日前に契約書の案をもらい、契約の種類(普通借家か定期借家か)、家賃の改定、修繕の負担、買戻しの条件に目を通しておいてください。契約の種類で何年住めるかが変わる点は、以下の記事で整理しています。


⑥決済・引渡し|ローンがあると日程は金融機関しだい
住宅ローンが残っている場合、決済日に売却代金で一括返済し、同じ日に抵当権を抹消します。金融機関によっては一括返済の申込を決済日の1〜2週間前、長いところでは1か月前までに求めるため、ここが全体の期間を左右します。契約日が決まったら、すぐに金融機関へ連絡してください。ローンが残っている家のリースバックについては、以下の記事で詳しく解説しています。


リースバックで現金はいつ入る?お金の動きのタイミング
「契約したらすぐにお金がもらえる」と思われがちですが、売却代金の大部分が入るのは決済日です。契約から決済までのお金の動きを整理しておきます。
| タイミング | お金の動き | ポイント |
|---|---|---|
| 売買契約日 | 手付金を受け取る(業者による) | 売買代金の5〜10%程度が多い。手付金なしで決済時に一括の業者もある |
| 売買契約日 | 印紙税を負担する | 売買価格1,000万円超5,000万円以下なら1万円 |
| 決済日 | 残りの売却代金が振り込まれる | ローンがあれば同時に完済。残った金額が手元に入る |
| 決済日 | 固定資産税の精算金を受け取る | 引渡し日以降の分を日割りで業者が負担する |
| 決済日 | 登記費用・保証料などを支払う | 売却代金から差し引かれることが多い |
| 決済日以降 | 家賃の支払いが始まる | 初月は日割りになるのが一般的 |
資金が必要な日が決まっているなら、逆算して決済日を設定することが大切です。たとえば月末に支払いがあるなら、決済日を月の中旬以前に置けるよう、契約日とローンの返済申込を前倒しで進めてください。売却代金から差し引かれる費用と、最終的に手元に残る金額の計算方法は、以下の記事で解説しています。


リースバックの必要書類チェックリスト
書類の準備は、期間を縮めるうえで自分でコントロールできる数少ない部分です。どの段階で何が必要かを先に把握し、取れるものから集めておきましょう。
| 必要な段階 | 書類 | 取得先 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 査定時 | 固定資産税の納税通知書(課税明細書) | 毎年春に届く | 評価額と面積の確認に使う |
| 査定時 | 住宅ローンの残高が分かる書類 | 金融機関 | 決済時の完済予定額は別途確認 |
| 査定時 | 購入時の売買契約書・重要事項説明書 | 手元 | 取得費の証明にも使う |
| 査定時 | 建築確認済証・検査済証、図面 | 手元 | 戸建ての増築履歴や違反の有無の確認に使う |
| 審査時 | 本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカードなど | 有効期限内のもの |
| 審査時 | 収入を証明する書類 | 年金振込通知書、源泉徴収票、確定申告書の控え | 直近のもの |
| 契約時 | 実印 | 手元 | 印鑑登録済みのもの |
| 決済時 | 登記識別情報(権利証) | 手元 | 紛失時は司法書士による本人確認が必要 |
| 決済時 | 印鑑証明書 | 市区町村の窓口・コンビニ | 発行から3か月以内のもの |
| 決済時 | 住民票 | 市区町村の窓口・コンビニ | 登記上の住所と現住所が違う場合は住所の変遷が分かるもの |
| 決済時 | 固定資産評価証明書 | 市区町村(東京23区は都税事務所) | 登録免許税の計算に使う |
マンションと戸建てで追加になる書類
マンションの場合は、管理規約や長期修繕計画、管理費・修繕積立金の額が分かる書類を求められます。管理会社から取り寄せる「重要事項調査報告書」が必要になることもあり、発行まで1〜2週間かかる場合があるので早めに依頼してください。戸建ての場合は、土地の測量図や境界確認書があると査定が早く進みます。戸建てで査定が付く条件については、以下の記事で解説しています。


リースバックの期間が延びる7つの原因と対処法
「1か月で終わると思っていたのに3か月かかった」というケースには、たいてい原因があります。代表的な7つと、事前にできる対処をまとめました。
| 原因 | 延びる期間の目安 | 対処法 |
|---|---|---|
| ①住宅ローンの完済手続き | 2週間〜1か月 | 契約日が決まったらすぐ金融機関に一括返済を申し込む |
| ②相続登記が済んでいない | 1〜2か月 | 名義を相続人に移す登記を先に司法書士へ依頼する |
| ③共有者の同意が取れていない | 数週間〜数か月 | 査定の前に共有者全員の意思を確認しておく |
| ④境界が確定していない | 1〜3か月 | 測量図の有無を確認し、必要なら早めに測量を依頼する |
| ⑤未登記の増築がある | 2週間〜1か月 | 土地家屋調査士に建物の変更登記を依頼する |
| ⑥権利証をなくしている | 数日〜2週間 | 司法書士に本人確認情報の作成を依頼する |
| ⑦借地権で地主の承諾が必要 | 数週間〜数か月 | 業者に相談する前に地主へ打診しておく |
相続登記は2024年4月から義務化されている
親から相続した家に住んでいて、名義が亡くなった親のままになっているケースは少なくありません。名義人本人でなければ売却できないため、まず相続人への名義変更(相続登記)が必要です。2024年4月からは相続登記が義務になり、相続を知った日から3年以内に申請しないと過料の対象になり得ます。それ以前に相続した家も対象なので、この機会に手続きを済ませてください。相続した家の手続きの流れは、以下の記事でまとめています。


権利証をなくしても売却はできる
権利証(登記識別情報)は再発行されませんが、なくしたからといって売れなくなるわけではありません。決済を担当する司法書士が本人と面談して「本人確認情報」を作成すれば、権利証の代わりとして登記を申請できます。費用は司法書士によって異なり、数万円から十数万円程度が目安です。法務局から本人あてに確認の郵便が届く「事前通知」という方法もありますが、決済日に所有権移転を確定させにくいため、リースバックでは本人確認情報を使うのが一般的です。
急いで現金化したいときに期間を縮める4つのコツ
資金が必要な日が迫っているときは、次の4つを意識してください。どれも自分で動ける内容です。
- 書類を査定の前に集めておく。権利証の所在確認と印鑑証明書・住民票の取得は最初に済ませる
- 複数社に同時に査定を依頼する。1社ずつ順に聞くより、比較の期間が大幅に短くなる
- ローンの完済予定額を早めに確認する。金融機関の手続き期間に合わせて決済日を逆算できる
- 資金が必要な日を業者に伝える。決済日から逆算したスケジュールを最初に組んでもらう
注意したいのは、急ぐあまり条件の確認を省かないことです。「今日中に決めれば高く買います」といった急かし方をする業者は、それ自体が警戒すべきサインです。期間を縮める工夫は書類と日程の段取りで行い、価格や契約内容の比較は省かないでください。買取価格の相場と、提示額が妥当かを確かめる方法は以下の記事で解説しています。


引渡し日当日と、リースバック後に必要な手続き
決済と引渡しが終わると、その日から借主として同じ家に住むことになります。通常の売却と違って引越しがないため、手続きは多くありません。
- 住所変更は不要。住民票も郵便物もそのまま
- 電気・ガス・水道は名義そのまま。使用者は変わらないので手続きは基本的に不要
- 火災保険を切り替える。建物の保険は所有者になった業者が掛けるため、自分の建物の保険は解約し、家財保険と借家人賠償責任保険に加入する
- 翌年に確定申告をする。3,000万円特別控除を使う場合は、税金がゼロでも申告が必要
火災保険は、解約のタイミングを決済日にそろえないと、無保険の期間ができてしまうので注意してください。確定申告の要否と3,000万円控除の条件は、以下の記事で詳しく解説しています。


リースバックの流れに関するよくある質問
- リースバックは最短で何日で現金化できますか?
-
住宅ローンがなく、権利証や印鑑証明書などの書類がそろっていて、権利関係にも問題がない場合、申込から1〜2週間で決済まで進むことがあります。ローンの完済が必要な場合は、金融機関の手続き期間があるため、1か月以上を見込んでおくと安心です。
- 土日や祝日でも手続きは進められますか?
-
相談や訪問査定は土日に対応する業者も多くあります。一方、決済は金融機関での送金と法務局への登記申請を伴うため、平日に行うのが一般的です。仕事の都合で平日が難しい場合は、決済日だけ休みを取れるよう早めに日程を調整してください。
- 権利証が見つからない場合、手続きはどれくらい遅れますか?
-
司法書士に本人確認情報を作成してもらえば、権利証の代わりに登記を申請できるため、大きな遅れにはなりません。面談の日程調整などで数日から2週間程度余分にかかることがあります。費用は数万円から十数万円程度が目安で、見つからないと分かった時点で業者に伝えておくとスムーズです。
- 家族が遠方に住んでいても手続きできますか?
-
売主本人が物件に住んでいれば、家族が遠方でも手続きは進められます。査定や契約の説明にオンラインで同席してもらう、書類を郵送でやりとりするといった方法に対応する業者も増えています。ただし売主本人の意思確認と、契約時・決済時の本人の立ち会いは必要です。
- 売買契約を結んだあとにキャンセルできますか?
-
売主側からのキャンセルは、手付金を受け取っている場合はその倍額を返す「手付解除」が一般的で、それ以降は違約金がかかることがあります。リースバックでは売主にクーリングオフの制度は適用されません。契約書のキャンセル条項を事前に確認し、迷いがあるうちは署名しないでください。
まとめ|リースバックの流れは「書類と日程の段取り」で期間が決まる
リースバックの流れは7つのステップで、申込から現金化まで最短1〜2週間、標準で1〜2か月です。お金が入るのは決済日で、住宅ローンの完済手続きや相続登記、境界の確定などがあると期間は延びます。資金が必要な日から逆算し、書類を早めにそろえて、金融機関への連絡を前倒しにすることが、期間を縮めるいちばんの方法です。
- 流れは相談・査定から家賃支払い開始までの7ステップ。最短1〜2週間、標準1〜2か月
- 売却代金の大部分が入るのは決済日。資金が必要な日から逆算して決済日を設定する
- 権利証・印鑑証明書(3か月以内)・住民票・固定資産評価証明書などを先に準備する
- ローン完済、相続登記、共有者の同意、境界、未登記増築、権利証の紛失、借地権が期間を延ばす
- 急いでも価格と契約内容の比較は省かない。期間は書類と日程の段取りで縮める
株式会社CLOUD HOMeでは、宅地建物取引士が1,500件以上の訳あり不動産の相談を扱ってきた経験をもとに、資金が必要な日から逆算したスケジュールを最初にご提案しています。相続登記が済んでいない家や権利証が見つからない家など、手続きに時間がかかりそうなケースもご相談ください。










