リースバックの売却価格は相場の6〜8割|業者の値付け計算式と高く売るコツ

リースバックの売却価格は、市場価格の6〜8割が相場です。「え、そんなに下がるの?」と感じた方が多いのではないでしょうか。仲介で売れば3,000万円の家が、リースバックだと1,800万〜2,400万円。この差を知らずに査定を受けると、提示額が高いのか安いのか判断できません。

この記事では、リースバックの売却価格が相場より安くなる理由を業者側の値付け計算式から説明し、物件タイプ別の目安、家賃や買戻し価格との関係、査定額が妥当かを自分で確かめる手順、そして少しでも高く売る3つの方法をまとめました。監修は、訳あり不動産を中心に1,500件以上の相談を解決してきた宅地建物取引士の桐生辰宏です。

査定で「2,000万円」と言われたんですが、これって妥当なんでしょうか。周りに聞ける人もいなくて。

その数字だけでは判断できません。市場価格がいくらで、その何割なのか、そして家賃がいくらなのか。3つをセットで見ると答えが出ます。順番に説明しますね。

目次

リースバックの売却価格相場は市場価格の6〜8割

結論から言うと、リースバックの売却価格(業者の買取価格)は、仲介で売った場合の市場価格に対して6〜8割に収まるのが一般的です。ただ、この「何割」は物件の種類と業者によって幅があり、同じ家でも査定額が数百万円違うことは珍しくありません。

「6〜7割」「7〜9割」と社によって数字が違う理由

ネットで調べると、6〜7割と書く会社もあれば7〜9割と書く会社もあります。これは嘘をついているわけではなく、各社が得意とする物件と契約形態が違うからです。都心のマンションを短期の定期借家で扱う業者なら8割以上も出ますし、地方の築古戸建てを長期で預かる前提なら6割を切ることもあります。

つまり「何割か」は、あなたの家がどのタイプで、どんな条件で契約するかによって決まる数字です。相場の幅を知ったうえで、自分の家がどこに位置するかを見ていきましょう。

物件タイプ別|リースバック売却価格の目安

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物件タイプ市場価格に対する割合の目安割合が変わる主な要因
都市部の分譲マンション7〜8割転売しやすく、管理状態が読みやすい
戸建て(築20年以内)6.5〜7.5割建物評価が残り、土地の流動性が高い
戸建て(築30年超)6〜7割建物価値がほぼゼロ。土地値ベースの評価
再建築不可・借地権付き5〜6割買い手が限られ、転売時の値付けが難しい
地方・郊外の戸建て5〜6.5割転売までの期間が長く、市況変動リスクを織り込む

表を見て分かるとおり、割合を左右しているのは「業者が将来いくらで転売できるか」と「それまでどれだけリスクを抱えるか」の2つです。訳あり物件ほど下がるのはこのためで、逆に言えば、訳あり物件の転売ルートを持つ業者なら割合は上がります。

マンション特有の管理費や修繕積立金が価格と家賃にどう影響するかは、以下の記事で計算表付きで解説しています。

東京23区の考え方|土地値が高いほど割合は上がりやすい

東京23区のように土地値が高く取引も活発なエリアでは、業者にとって転売リスクが小さいため、割合は相場の上限寄りになりやすい傾向があります。一方で、23区内でも接道が悪い狭小地や再建築不可の戸建ては話が別。受ける業者そのものが絞られてしまうんです。

東京で買取業者を選ぶ際の相場感や、高く売るためのコツは次の記事にまとめています。リースバックと通常買取の両方を並べて検討したい方はこちらもどうぞ。

リースバックの売却価格が安くなる3つの理由|業者の値付け計算式

「安いのは業者が儲けたいから」と片付けてしまうと、交渉の糸口が見えません。業者がどう計算して買取価格を出しているかを知ると、どこに交渉の余地があるかも分かります。

理由①業者は「貸して転売する投資」として買っている

リースバック業者は、あなたの家を自分で住むために買うのではなく、家賃収入を得たあとで転売して利益を確定させる投資として買います。だから値付けは「今いくらの価値があるか」ではなく、「将来いくらで売れて、それまでにいくらかかるか」から逆算されるんですね。

業者側の買取価格の考え方(簡略版)

買取価格 ≒ 退去後の想定転売価格 − 保有中のコスト − 退去後のリフォーム費 − 売却諸費用 − 業者の利益

  • 保有中のコストは固定資産税・火災保険・マンションなら管理費と修繕積立金
  • 退去後のリフォーム費は築古戸建てで数百万円単位になることもある
  • 想定転売価格は「今の市場価格」ではなく、数年後の市況を保守的に見積もった数字

市場価格3,000万円の家でも、転売想定を2,800万円と見て、保有コストとリフォーム費で400万円、諸費用と利益で300万円を引けば、買取価格は2,100万円。ちょうど7割です。数字の置き方はさまざまですが、構造はどの業者もほぼ同じです。

理由②期待利回りから逆算されるため

もう1つの計算軸が利回りです。業者は「買取価格に対して年間家賃が何%になるか」を投資判断の基準にしており、リースバックの期待利回りはおおむね年6〜13%と考えてください。

この式を裏返すと、「買取価格=年間家賃÷期待利回り」になります。周辺の賃貸相場から見て妥当な家賃が月15万円(年180万円)で、業者の期待利回りが10%なら、買取価格は1,800万円。市場価格が3,000万円なら6割です。家賃を上げれば買取価格は上がりますが、あなたの毎月の負担も増える。ここがリースバック特有のトレードオフです。

家賃側の計算方法と、家賃を安くする交渉術は別記事で詳しく解説しています。

理由③自由に売れない・貸せない期間のリスクを織り込むため

通常の投資用不動産なら、業者は好きなタイミングで売ったり、別の入居者に貸したりできます。リースバックでは、あなたが住んでいる間はどちらもできません。この「身動きが取れない期間」が長いほど、業者は市況が下がるリスクを抱えることになるわけです。

そのため、借主が希望する限り更新される普通借家契約は、期間が読みにくい分だけ買取価格が抑えられがちです。逆に2〜3年の定期借家なら転売時期が見えるので、価格は上がりやすくなります。「長く住みたい」と「高く売りたい」は、構造的に両立しにくいと覚えておいてください。

売却価格と家賃・買戻し価格のトレードオフ|3,000万円の家で比較

ここまでの話を1つの表にまとめます。市場価格3,000万円の家を6割・7割・8割で売った場合、家賃と10年間の総支払額、買戻し価格の目安がどう変わるかを見てください。利回りは10%、買戻し価格は売却価格の1.1〜1.3倍で計算しています。

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項目6割で売却7割で売却8割で売却
売却価格1,800万円2,100万円2,400万円
月々の家賃(利回り10%)15万円17.5万円20万円
5年間の家賃総額900万円1,050万円1,200万円
10年間の家賃総額1,800万円2,100万円2,400万円
買戻し価格の目安1,980万〜2,340万円2,310万〜2,730万円2,640万〜3,120万円

気づいた方もいると思いますが、利回り10%だと、どの割合で売っても10年住むと家賃総額が売却価格と同じになります。高く売った分だけ家賃も高いので、長く住むほど「高く売れた」メリットは薄れていくわけです。

「高く売る」が正解とは限らない|住む年数で判断する

では、どの割合を目指すべきか。答えは「あと何年住むか」で変わります。

  • 2〜3年で住み替えや施設入居の予定がある→売却価格を優先。家賃を払う期間が短いので、高く売った分がそのまま手元に残る
  • 10年以上住み続けたい→家賃を優先。売却価格を抑えてでも月々の負担を軽くした方が、総支払額は小さくなる
  • 将来買い戻したい→売却価格を抑える。買戻し価格は売却価格に連動するため、安く売った方が安く戻せる

買戻しを考えるなら、価格の算式と期限を契約書に残しておく必要があります。必要な2つの権利については、こちらの記事で解説しています。

定期借家の期間が短いほど売却価格は上がる

前の章で触れたとおり、業者にとって転売時期が読める契約ほどリスクが小さく、その分だけ買取価格に上乗せしやすいんですね。「2年の定期借家なら7.5割、普通借家なら6.5割」といった提示を受けることもあるでしょう。

ただし、短期の定期借家は期間満了で退去になるリスクと表裏一体です。価格の上乗せに惹かれて短期契約を選び、再契約を断られて住む場所を失う。これが「リースバックはやばい」と言われる典型的な失敗パターンなので、価格だけで契約形態を決めないでください。

リースバックの査定額が妥当か自分で確かめる4ステップ

業者から「2,000万円です」と言われても、市場価格を知らなければ高いのか安いのか分かりません。相談に来られる方の多くが、この「比較の物差し」を持たないまま1社の提示で決めかけています。契約前に、次の4ステップで検証してみてください。

STEP
仲介業者の査定で「市場価格」を先に把握する

リースバック業者に声をかける前に、一般の不動産仲介会社2〜3社に無料査定を依頼し、仲介で売った場合の価格を把握します。これが「何割か」を計算する分母になります。査定は無料で、売る義務も生じません。

STEP
成約事例と公示地価で裏を取る

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で近隣の実際の取引価格を、国税庁の路線価や公示地価で土地の評価を確認します。仲介査定が高すぎる(売れない価格)場合もあるので、公的データで補正しておくと安心です。

STEP
「市場価格×何割か」を逆算する

リースバックの提示額を市場価格で割ります。3,000万円の家に2,000万円なら約6.7割で相場内。1,400万円なら4.7割で、訳あり物件でない限り安すぎます。5割を切る提示は、他社の査定を取るまで返事をしないでください。

STEP
家賃と契約期間をセットで見る

売却価格が相場内でも、家賃が利回り13%を超える水準だったり、定期借家1年で再契約条件が書面にないなら、条件全体としては不利です。「売却価格÷年間家賃」で利回りを出し、契約書の借家契約の種類まで確認して初めて「妥当」と言えます。

逆に「相場の9割出します」という提示にも注意してください。家賃が異常に高いか、短期の定期借家で早期退去が前提になっているか、どちらかの可能性が高いです。

業者を比較するときに見るべき10のポイントは、以下の記事にまとめています。

リースバックで売却価格を高くする3つの方法

相場が6〜8割だとしても、その中で上限に近づける方法はあります。業者の値付け計算式を思い出してください。転売想定価格を上げるか、業者のリスクとコストを下げるか、そのどちらかに働きかければ価格は動きます。

方法①訳あり専門を含む複数社で競わせる

基本中の基本ですが、効果は最も大きい方法です。同じ家でも、業者の転売ルートや得意エリアによって査定額は数百万円変わります。とくに再建築不可や借地権付きの家は、一般の業者が5割を提示する一方で、訳あり物件の再生を専門にする会社なら6割台を出せるケースがあります。

「他社はいくらでしたか」と聞かれたら、正直に答えて構いません。業者側もそれを前提に上限を探ってくるので、複数社の提示額を持っているだけで交渉の立場が変わります。審査で断られやすい物件の条件と通すコツは、こちらで整理しています。

方法②契約期間・家賃・買戻し条件を調整材料にする

売却価格だけを上げてくれと言っても、業者は動きにくいものです。代わりに「家賃を少し上げてもいいので売却価格を上げてほしい」「買戻しは考えていないので、その分を価格に反映してほしい」といった交換条件を出すと、業者側の計算式が変わり、価格が動く余地が生まれます。

ただし前の章の表で見たとおり、家賃を上げれば長期的な総支払額は増えます。住む年数が短い方に向いた方法だと考えてください。

方法③リノベーション前提の査定を受ける

築古戸建てで査定が伸びない最大の理由は、業者が「退去後に数百万円かけてリフォームしないと転売できない」と見ているからです。この費用が買取価格から差し引かれています。

そこで、売却と同時に業者がリノベーションを行い、再生後の価値を前提に条件を組む「リノベーション付きリースバック」という選択肢があります。業者側は転売想定価格を再生後の水準で置けるので、通常の査定とは計算の出発点が違うんです。住みながら家が新しくなるうえ、修繕費の負担区分も最初から整理されるのが特徴です。

売却価格から手元に残る金額(手残り)の考え方

最後に見落としがちなのが、売却価格と手元に残るお金は別だという点です。2,000万円で売れても、2,000万円が口座に入るわけではありません。

売却価格から差し引かれる費用

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差し引かれるもの金額の目安備考
住宅ローンの残債残高全額売却代金で完済し抵当権を抹消するのが条件
抵当権抹消の登記費用1〜2万円程度司法書士報酬を含む
売買契約書の印紙税1万円(1,000万円超5,000万円以下)2027年3月末までの軽減措置適用時
仲介手数料0円〜業者に直接売る場合は原則不要。仲介型のサービスでは発生する
譲渡所得税利益が出た場合のみマイホームなら3,000万円特別控除で非課税になることが多い

一方で、通常の売却なら必要な引越し費用や仮住まいの家賃はかかりません。この「引っ越さなくて済む分」は、リースバックの買取価格が安い分をある程度相殺してくれる要素です。

ローン残債が売却価格を上回る場合

売却価格2,000万円に対してローン残債が2,300万円なら、そのままではリースバックは成立しません。抵当権を抹消できないからです。この状態を「オーバーローン」と呼び、金融機関の同意を得て売却する任意売却との併用など、成立させる方法が3つあります。

リースバックの仕組み全体やメリット・デメリットを最初から整理したい方は、ピラー記事もあわせてどうぞ。

リースバックの売却価格に関するよくある質問

相場より高い売却価格を提示されました。安全ですか?

市場価格の9割を超えるような提示には注意が必要です。売却価格が高い分だけ家賃が周辺相場を大きく上回っていたり、1〜2年の定期借家で早期退去が前提になっていたりする可能性があります。売却価格・家賃・契約期間の3点を必ずセットで確認してください。

リースバックの査定は無料ですか?何日かかりますか?

ほとんどの業者で査定は無料です。机上査定なら数日、現地調査を含む正式な査定でも1〜2週間程度が目安です。査定を受けても契約の義務は生じないので、複数社に依頼して比較してください。

築40年の戸建てでも市場価格の6割は出ますか?

建物価値がほぼゼロと評価されるため、実質的には土地値をベースに6〜7割が目安です。ただし退去後のリフォーム費用が大きく見積もられると6割を切ることもあります。リノベーション前提で査定する業者なら、再生後の価値を織り込めるため条件が変わる場合があります。

リースバックの売却価格は交渉できますか?

交渉は可能です。ただし売却価格だけを上げてほしいという要望は通りにくいため、家賃・契約期間・買戻し条件を交換材料にするか、他社の査定額を提示して競わせるのが現実的です。複数社の提示額を持っていることが最大の交渉材料になります。

買戻し価格はいくらになりますか?

一般的に売却価格の1.1〜1.3倍が目安です。2,000万円で売却した家なら2,200万〜2,600万円程度になります。買戻しを本気で考えるなら、価格の算式と期限を契約書の特約として明記してもらってください。

まとめ|リースバックの売却価格は「何割か」と「家賃」をセットで判断する

リースバックの売却価格は市場価格の6〜8割が相場で、業者は「将来の転売価格から保有コストと利益を引く」「年間家賃を期待利回りで割る」という2つの計算で値付けをしています。この構造を知っていれば、提示額が妥当かどうかは自分で判断できますし、どこに交渉の余地があるかも見えてきます。

この記事のまとめ
  • 売却価格の相場は市場価格の6〜8割。マンションは上限寄り、築古や訳あり物件は5〜6割まで下がる
  • 安くなる理由は「貸して転売する投資」「利回りからの逆算」「動けない期間のリスク」の3つ
  • 高く売るほど家賃も上がる。利回り10%なら10年で家賃総額が売却価格に並ぶ
  • 仲介査定で市場価格を先に把握し、「何割か」を逆算。5割を切る提示は他社比較まで保留
  • 高く売るには複数社比較、条件の交換、リノベーション前提の査定の3つが有効

とくに再建築不可や借地権付き、築古の戸建ては、一般の業者の査定だけで決めると相場の下限で契約しがちです。株式会社CLOUD HOMeでは、宅地建物取引士が1,500件以上の訳あり不動産を扱ってきた実績をもとに、リノベーション前提の査定も含めて無料でご提案しています。他社の査定額をお持ちのうえでのご相談も歓迎です。



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