「リースバックを申し込みたいけれど、審査に通るだろうか」。年金生活だから、貯金が少ないから、と不安になっている方は多いはずです。ただ安心してください。リースバックの審査は住宅ローンの審査とは別物で、主役は「人」ではなく「物件」です。
年収の高さや勤続年数を厳しく問われる仕組みではありません。むしろ重視されるのは、その家がきちんと売れる物件かどうか。だからこそ通過率を上げるには、物件側の準備が要になってきます。

年金収入だけでも申し込めるんですか?何を用意すればいいのかも知りたいです。
この記事では、リースバックの審査基準を物件の審査と家賃保証会社の審査に分けて整理し、落ちる7つの原因と対処法、通過率を上げる5つのコツ、必要書類のチェックリストまで解説します。申し込み前の準備がひととおり整いますよ。
リースバックに審査はある|ただし住宅ローン審査とは別物
結論からいえば、リースバックにも審査はあります。ただし、その中身は多くの方が想像するものとかなり違うんです。
審査の主役は「人」ではなく「物件」
住宅ローンの審査では、年収・勤続年数・信用情報といった申込者の属性が中心に見られます。一方リースバックで会社が知りたいのは、「この物件を買い取って、将来きちんと転売できるか」という一点です。買主は投資として物件を取得するため、判断材料も物件そのものに向きます。
つまり無職の方でも、年金収入だけの方でも、物件の条件が整っていれば申し込めるわけです。仕組みの全体像はリースバックの基本を解説した記事にまとめています。


住宅ローン審査より通りやすい傾向にある
金融機関の住宅ローンや不動産担保ローンと比べると、リースバックの審査は緩やかだといわれています。信用情報に傷がある方や、他社からの借入がある方でも利用できるケースは少なくありません。とはいえ落ちることもあるので、油断は禁物でしょう。
実は2種類の審査がある
ここを混同している方が非常に多いのですが、リースバックの審査は2段構えになっています。
| 審査の種類 | 審査する主体 | 見られる内容 |
|---|---|---|
| 物件の審査 | リースバック会社 | 買い取って転売できる物件かどうか |
| 家賃保証会社の審査 | 家賃保証会社 | 毎月の家賃を払い続けられるか |
「収入証明を求められた」という話が出るのは、後者の家賃保証会社の審査があるためです。物件が良くても支払い能力に不安があれば通りませんし、逆に収入が十分でも物件条件が合わなければ成立しません。両方をクリアする必要がある、と覚えておいてください。
【物件の審査】チェックされる5つのポイント
まずは物件側の基準から見ていきましょう。この5つがクリアできるかどうかが、審査の大部分を左右します。
1. 対応エリア内にあるか
意外にも、審査以前でつまずく典型がこれ。リースバック会社にはそれぞれ営業エリアがあり、全国対応の会社もあれば、主要都市周辺に限定している会社もあります。エリア外なら物件の状態にかかわらず断られてしまうため、申し込み前の確認が欠かせません。
2. 住宅ローン残債と売却見込み価格のバランス
住宅ローンが残っている場合、売却代金で完済して抵当権を抹消できることが条件になります。リースバックの買取価格は市場価格の7〜8割程度(物件条件によっては6割台になることも)にとどまるため、残債が多いと完済できません。この状態がオーバーローンと呼ばれるもので、断られる理由としてはもっとも多いパターンです。
市場価格3,000万円の自宅で、住宅ローン残債が2,000万円あるケースを考えてみましょう。リースバックの買取価格は7割で2,100万円ほど。この場合は完済できますが、残債が2,300万円なら200万円足りず、自己資金で埋められなければ契約は成立しません。
3. 転売しやすい物件か
リースバック会社は、将来買い戻しが行われなかった場合に物件を第三者へ売却します。そのため「売れる物件かどうか」という流動性が重視されるわけです。極端に交通の便が悪い立地、需要の乏しいエリア、特殊な形状の土地などは、審査で慎重に見られる傾向にあります。
4. 違法建築や重大な瑕疵がないか
建築基準法に違反している建物や、雨漏り・シロアリ被害など重大な欠陥がある物件は、転売が難しいため敬遠されます。注意したいのは、購入時には適法だった建物が、法令改正によって現在は違反状態になっているケース。増改築の履歴がある方は、図面の準備をしておくと話が早く進みます。
5. 共有名義なら全員の同意があるか
物件を配偶者や親族と共有している場合、共有者全員の同意がなければ売却できません。同意が得られなければ、他の条件がどれだけ良くても契約は締結できないんです。共有者がその家に住んでいなくても同じ扱いになるため、申し込みの前に話をつけておきましょう。権利関係が複雑で整理が必要な方は、共有持分とは?権利関係・売却方法・トラブル解決もあわせてご覧ください。
【家賃保証会社の審査】チェックされる3つのポイント
もうひとつの関門が、家賃保証会社による審査です。売却後は賃借人になるため、通常の賃貸物件を借りるときと同じ手続きを踏むことになります。
1. 安定した収入があるか
ここで見られるのは収入の多さではなく、継続性です。給与所得者なら源泉徴収票、自営業なら確定申告書、年金生活者なら年金証書や年金振込通知書で証明します。年金収入も立派な安定収入として評価されるので、退職しているからという理由だけで諦める必要はありません。
2. 家賃が収入に対して過大でないか
一般的な賃貸では、家賃が月収の3分の1以内に収まるかが目安とされます。リースバックの家賃は売却価格に連動して決まるため、高く売るほど家賃も上がり、この基準を超えてしまうことがあるんです。収入に対して家賃が重いと判断されれば、保証会社の承認は下りません。
家賃がどう決まるのかはリースバックの家賃相場を解説した記事で詳しく扱っています。申し込み前に自分の想定家賃を計算しておくと、審査の見通しが立てやすくなるでしょう。


3. 家賃や税金の滞納歴がないか
過去の家賃滞納履歴が保証会社の情報に残っていると、審査に影響することがあります。もうひとつ見落とされがちなのが固定資産税の滞納です。税金を滞納している不動産は差押えのリスクがあり、リースバックの対象にしにくくなります。納税通知書を確認し、未納があれば先に整理しておいてください。



2つの審査があると聞くと身構えますが、どちらも「無理なく払い続けられるか」を確かめる手続きだと考えると気が楽になりますよ。
審査に落ちる7つの原因と対処法
断られる理由には、はっきりしたパターンがあります。原因ごとに打つ手が違うので、対処法とセットで確認してください。
| 落ちる原因 | 対処法 |
|---|---|
| 1. 対応エリア外 | 地域密着型や全国対応の会社に相談し直す |
| 2. オーバーローン | 金融機関と協議し任意売却との併用を検討する |
| 3. 物件の流動性が低い | 再生ノウハウを持つ会社に相談する |
| 4. 違法建築・重大な瑕疵 | 是正の可否を調べる、訳あり物件専門の会社へ |
| 5. 共有者の同意が得られない | 共有者と協議する、または持分売却を検討する |
| 6. 家賃の支払い能力不足 | 買取価格を下げて家賃を抑える交渉をする |
| 7. 固定資産税などの滞納 | 納付または分納の手続きを済ませてから再申込 |
オーバーローンでも道はある
残債が売却見込み価格を上回っていても、すぐに諦めるのは早計です。金融機関が任意売却に同意すれば、抵当権を抹消したうえでリースバックが成立するケースがあります。債権者との交渉が前提になるため、任意売却に詳しい専門家へ相談するのが近道でしょう。
共有者の同意が取れないときの逃げ道
どうしても共有者の同意が得られない場合、物件全体のリースバックは諦めざるを得ません。ただし自分の共有持分だけであれば、他の共有者の同意なく売却して現金化できます。住み続けることはできませんが、資金確保という目的だけなら手段は残るわけです。進め方と注意点は共有持分は同意なしで売却できるのかを解説した記事にまとめました。
1社に断られても他社なら通ることがある
審査基準は会社ごとに異なります。大手が対象外とする築古物件や条件の難しい物件でも、そうした物件を得意とする会社なら買い取れる場合があるんです。1社の結果で判断せず、性格の違う会社に当たってみてください。
会社ごとのタイプの違いや選び方はリースバック会社の比較ポイントを解説した記事にまとめました。再申し込み先を探す際の参考になるはずです。


審査に通るための5つのコツ
通過率は、事前の準備で確実に上がります。特に効果の高い5つを紹介しましょう。
コツ1|事前に対応エリアを電話で確認する
公式サイトの記載だけでは判断しきれないこともあるため、問い合わせの段階で市区町村名を伝えて確認しておきます。エリア外と分かれば、そこで手間をかけずに次の候補へ移れます。無駄な審査落ちを避ける、地味ですが効く一手です。
コツ2|複数社に申し込む
審査基準が会社ごとに違うのだから、複数当たるのが合理的です。同時に3社へ申し込めば、条件の比較もできて一石二鳥。1社の回答を待ってから次に動くと、時間ばかりかかってしまうでしょう。
コツ3|共有者の同意を先に取っておく
共有名義の物件なら、申し込み前に共有者へ説明して同意を得ておきます。審査が進んでから同意が取れないと分かれば、手続きは白紙に戻ってしまいます。相続で共有になっている実家などは、名義人が誰なのか登記事項証明書で確かめるところから始めましょう。
コツ4|買取価格を下げて家賃を抑える
家賃の支払い能力が心配な方に効く方法です。リースバックの家賃は買取価格に連動するので、あえて買取価格を低めに設定してもらえば家賃も下がり、保証会社の審査を通しやすくなります。手取りは減りますが、長く住むつもりなら総額では有利になることも。
「毎月払える家賃は10万円まで」といった具体的な上限を伝えれば、会社側もそこから逆算した提案を出しやすくなります。
コツ5|書類を早めに揃える
必要書類のなかには、法務局や役所へ足を運んで取得するものが含まれます。契約直前に慌てて集めようとすると、予定日に間に合わないことも。次の章のチェックリストを使って、申し込みと並行して準備を進めてください。
審査に必要な書類チェックリスト
会社によって求められる書類は多少異なりますが、一般的に必要となるものを取得場所つきで一覧にしました。手元にあるものから確認していきましょう。
| 書類 | 取得場所 | 用途 |
|---|---|---|
| 本人確認書類 | 手元(運転免許証など) | 本人と住所の確認 |
| 登記事項証明書 | 法務局 | 所有者・持分・抵当権の確認 |
| 権利証または登記識別情報通知 | 手元 | 所有者本人であることの確認 |
| 固定資産税納税通知書 | 手元(毎年4〜6月に届く) | 評価額の確認と滞納の有無 |
| 固定資産評価証明書 | 市区町村役場・都税事務所 | 納税通知書がない場合の代用 |
| 収入を証明する書類 | 勤務先・税務署・年金機構 | 家賃保証会社の審査 |
| 住民票 | 市区町村役場 | 居住実態の確認 |
| 印鑑証明書 | 市区町村役場 | 売買契約の締結 |
| 住宅ローン残高証明書 | 借入先の金融機関 | 残債額の確認 |
| 購入時の重要事項説明書 | 手元 | 法規制や接道状況の確認 |
| 増改築時の図面 | 手元・施工会社 | 建築基準法への適合確認 |
- 給与所得者|源泉徴収票、給与明細
- 自営業・フリーランス|確定申告書の控え
- 年金受給者|年金証書、年金振込通知書
このほか、公図・地積測量図・建物図面・境界確認書などを求められる場合もあります。土地の境界に関する資料は取得に時間がかかることがあるため、依頼を受けたら早めに動くのが賢明です。
印鑑証明書や住民票は「発行から3カ月以内」といった有効期限を指定されることがあります。取得が早すぎると使えなくなるので、必要な時期を確認してから窓口へ向かってください。
なお、審査に通ることはゴールではありません。契約条件の確認を怠って後悔するケースが実際に多いので、契約前のチェックリストにも目を通しておいてください。


審査に落ちたときの選択肢
断られたとしても、打つ手はまだ残っています。状況に応じて次の4つを検討してみてください。
他社に申し込む
もっとも手軽で効果的な方法です。断られた理由を可能な範囲で教えてもらい、その弱点をカバーできるタイプの会社に当たり直します。エリアが理由なら地域密着型へ、物件条件が理由なら再生を得意とする会社へ、といった具合に狙いを定めるのがポイント。
任意売却との併用を検討する
オーバーローンが原因の場合、金融機関の同意を得て任意売却の形をとることで道が開けることがあります。債権者との交渉が必要になるので、任意売却の実績を持つ専門家に間に入ってもらいましょう。返済が滞る前に動き出せば、選択肢は広く保てます。
通常売却やリバースモーゲージに切り替える
住み続けることを最優先しないなら、通常売却のほうが高く売れます。所有権を残したまま資金を得たいなら、自宅を担保に借り入れるリバースモーゲージという方法も。目的を整理すれば、リースバック以外の答えが見つかることも珍しくありません。相続対策が主な動機だった方は、リースバックは相続対策になるのかを確認したうえで方針を見直すとよいでしょう。
再生を前提とする会社に相談する
築年数が古い、間取りが特殊、修繕が必要といった理由で断られた物件こそ、リノベーションによる再生を前提に評価する会社の得意分野です。買い取った後にどう価値を高めるかという出口を持っている会社なら、大手が見送った物件でも判断が変わることがあります。
売却と同時に住まいを改修するリノベーション付きのリースバックなら、資金の確保と住環境の改善を一度に進められます。仕組みは下記の記事で解説しています。
空き家のみらいLABを運営するCLOUD HOMeは、訳あり不動産の買取からリノベーションの設計・施工まで自社で手がけています。他社で断られた物件のご相談も承っておりますので、状況をお聞かせください。
リースバックの審査に関するよくある質問
- 年金収入だけでもリースバックの審査に通りますか?
-
通る可能性は十分あります。家賃保証会社の審査では収入の多さより継続性が重視され、年金は安定収入として評価されます。年金証書や年金振込通知書を提出して証明しましょう。家賃が収入に対して過大でないかが判断の分かれ目になります。
- 信用情報に傷があっても審査に通りますか?
-
リースバックの審査は物件の価値が中心で、住宅ローン審査ほど信用情報を重視しません。過去に延滞歴がある方でも利用できたケースは少なくありません。ただし家賃保証会社の審査があるため、家賃滞納歴は影響することがあります。
- 審査にはどのくらいの期間がかかりますか?
-
会社や物件の状況によりますが、査定から結果が出るまで数日から2週間程度が目安です。書類が揃っていれば手続きは早く進みます。契約から決済までを含めると、最短1週間から1カ月程度で完了するケースもあります。
- 住宅ローンが残っていると審査に通りませんか?
-
売却代金で完済できれば問題ありません。残債が買取価格を上回るオーバーローンの場合は難しくなりますが、金融機関が任意売却に同意すれば成立するケースもあります。まずは残高証明書で正確な残債額を把握してください。
- 築40年の家でも審査に通る可能性はありますか?
-
あります。築年数だけで一律に判断されるわけではなく、立地や土地の価値、建物の状態が総合的に見られます。大手で断られた場合も、リノベーションによる再生を前提に評価する会社なら判断が変わることがあるため、複数社に相談してみましょう。
まとめ|審査の主役は物件、準備しだいで通過率は上がる
- リースバックの審査は住宅ローン審査とは別物で、主役は人ではなく物件
- 審査は「物件の審査」と「家賃保証会社の審査」の2種類がある
- 落ちる原因の代表はオーバーローン、エリア外、共有者の同意不足
- 買取価格を下げて家賃を抑えれば、支払い能力の審査は通しやすくなる
- 1社に断られても、基準の違う他社なら通ることがある
リースバックの審査は、住宅ローンのように属性で門前払いされる仕組みではありません。エリアの確認、共有者への相談、残債額の把握、書類の準備。この4つを申し込み前に済ませておけば、通過率はぐっと高まるはずです。
空き家のみらいLABを運営するCLOUD HOMeは、不動産の買取から設計・施工・アフターメンテナンスまでを自社で担っています。築古物件や条件が難しい物件のご相談も歓迎ですし、リースバック以外の方法が適していると判断した場合はその理由もお伝えします。まずはお気軽にご相談ください。










