リースバックの家賃は年金の何%まで?老後資金で使うときの安全ラインと計算方法

老後資金の不安から、リースバックを考え始めた方は多いはずです。自宅を売ってまとまったお金を手にし、住み慣れた家にそのまま暮らせる。ただ、気になるのは「年金で家賃を払い続けられるのか」という一点ではないでしょうか。

先に結論をお伝えすると、老後資金にリースバックを使えるかどうかは、家賃が年金の手取りの何%に収まるかと、足りない分を売却代金で埋めたときに何年もつか、の2つで決まります。年金の範囲で家賃を払えるなら有効な選択肢ですが、不足分を売却代金で取り崩し続ける使い方は、長生きするほど苦しくなる構造です。

この記事では、家賃÷年金手取りの3段階の安全ライン、年金額別の家賃上限、売却代金が何年もつかの計算、固定資産税が消える分を差し引いた実質負担、介護や施設入居への出口、認知症になる前に決めておくべきこと、他の選択肢との比較まで整理しました。監修は、訳あり不動産を中心に1,500件以上の相談を解決してきた宅地建物取引士の桐生辰宏です。

この記事の数値について

家計の数値は総務省「家計調査(2025年)」、平均余命は厚生労働省「令和7年簡易生命表」を用いています。家賃の安全ラインは当社が相談実務から設けた目安であり、個別の資金計画はファイナンシャルプランナー等の専門家にもご相談ください。

夫婦で年金が月22万円ほどです。家を売れば2,000万円くらいになると言われましたが、家賃12万円でやっていけるでしょうか。

そのままだと、80代前半で売却代金が底をつく計算になります。どこを調整すれば成り立つか、一緒に数字で見ていきましょう。

目次

老後資金にリースバックは使える?結論と向いている人・向いていない人

リースバックは、自宅を業者に売却し、その業者と賃貸借契約を結んで家賃を払いながら住み続ける仕組みです。老後資金の確保に使えるのは確かですが、向き不向きがはっきり分かれます。

向いている人向いていない人
年金の手取りで家賃をまかなえる
数年後に施設入居や子との同居を予定している
相続で家を分けにくく、生前に現金化しておきたい
家賃の大半を売却代金の取り崩しで払う前提
期限を決めずに終の棲家として住み続けたい
売却代金を別の用途で使い切る予定がある

分かれ目は「家賃の原資がどこにあるか」です。年金という毎月入ってくるお金で払えるなら、売却代金はそのまま手元に残り、医療や介護への備えになります。逆に、売却代金を切り崩して家賃を払うなら、その資金には寿命があります。以降の章では、この2つを数字で確認していきましょう。

リースバックの仕組みそのものは、以下のピラー記事で整理しています。

年金生活でリースバックの家賃はいくらまでなら安全か

「家賃は手取りの3分の1まで」という目安を聞いたことがあると思います。ただ、これは収入が伸びていく現役世帯の考え方です。年金は基本的に増えず、年齢とともに医療費や介護費が増えていくため、老後のリースバックではもう一段厳しく見る必要があります。

家賃÷年金手取りの3段階の安全ライン

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家賃÷年金手取り判定考え方
25%以内安全年金の範囲で家賃を払える。売却代金は医療・介護の備えとして残せる
25〜35%要注意生活費を切り詰めるか、売却代金を一部取り崩す必要がある。何年もつかの計算が必須
35%超危険売却代金の取り崩しが前提。長生きすると資金が尽きる可能性が高い

ここでいう「年金手取り」は、年金の額面から税金と社会保険料を引いた、実際に口座に入る金額です。額面で計算すると、1〜2割ほど甘く見積もることになるので注意してください。

25%を安全ラインとする根拠|平均的な高齢世帯は家賃ゼロでも赤字

総務省の家計調査(2025年)を見ると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、可処分所得(手取り)が月約22.2万円に対し、消費支出が月約26.4万円。持ち家で住居費が月1.8万円ほどしかかかっていない状態でも、毎月約4.2万円の赤字です。単身世帯も、手取り約11.8万円に対し支出約14.8万円で、月約3万円足りていません。

つまり、平均的な暮らし方をしている高齢世帯には、家賃に回せる年金の余力がそもそもないということです。家賃を年金の25%以内に収めるには、住居費以外の生活費を平均より抑える必要があります。これ以上の割合になると、家賃の一部は確実に売却代金からの取り崩しになる。25%はその境目として置いた数字です。

年金額別|家賃の上限早見表

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年金手取り(月額)安全(25%以内)要注意(35%まで)想定する世帯
12万円3.0万円まで4.2万円まで単身・国民年金中心
15万円3.75万円まで5.25万円まで単身・厚生年金あり
20万円5.0万円まで7.0万円まで夫婦・平均よりやや少なめ
22万円5.5万円まで7.7万円まで夫婦・平均的
25万円6.25万円まで8.75万円まで夫婦・厚生年金が厚め
30万円7.5万円まで10.5万円まで夫婦・企業年金あり

リースバックの家賃は、売却価格に利回り(年6〜13%)を掛けて決まるため、都市部の戸建てなら月10万円を超えることが珍しくありません。早見表と見比べると、年金だけで家賃を払い切れるケースは限られると分かります。多くの場合、家賃の一部を売却代金で補う前提になる。だからこそ、次の章の「何年もつか」の計算が判断の本丸です。

家賃がどう決まり、どこまで下げられるかは以下の記事で解説しています。

売却代金は何年もつ?リースバックの長生きリスクを計算する

家賃の一部を売却代金で補うなら、その資金が何年で尽きるかを先に計算しておく必要があります。計算式はシンプルです。

売却代金の持続年数の計算式

年間の不足額 = 年間家賃 + 年間生活費(住居費を除く) − 年間の年金手取り − 持ち家コストの削減分

持続年数 = 売却代金の手残り ÷ 年間の不足額

  • 持ち家コストの削減分は、売却で不要になる固定資産税・都市計画税と建物の火災保険料など
  • 持続年数が「平均余命+5年」を上回れば、終の棲家として使える目安

「平均余命+5年」としているのは、平均余命があくまで平均であり、半数近くの人はそれより長く生きるからです。厚生労働省の令和7年簡易生命表では、70歳の平均余命は男性15.78年・女性20.10年、75歳では男性12.24年・女性15.88年となっています。

3つのケースで試算する

生活費は家計調査の平均値(住居費を除く消費支出)を使い、持ち家コストの削減分は固定資産税と火災保険のみで見積もっています。

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項目ケースA 70歳夫婦・平均的ケースB 75歳単身女性ケースC 70歳夫婦・年金厚め
売却代金の手残り2,000万円1,500万円1,800万円
年金手取り(年)264万円(月22万)144万円(月12万)360万円(月30万)
家賃(年)144万円(月12万)96万円(月8万)108万円(月9万)
家賃÷年金手取り55%(危険)67%(危険)30%(要注意)
生活費(年・住居費除く)295万円164万円288万円
持ち家コストの削減分−15万円−10万円−15万円
年間の不足額160万円106万円21万円
持続年数約12.5年(82歳頃まで)約14.2年(89歳頃まで)80年超
平均余命との比較妻の平均余命(90歳頃)に約7.6年不足平均余命(91歳頃)に約1.7年不足十分に余裕あり

ケースAは、平均的な夫婦世帯が月12万円の家賃でリースバックした場合です。売却代金は82歳頃に尽き、妻が平均余命まで生きると約1,200万円が足りません。ケースBは不足額こそ小さいものの、平均余命+5年の目安には届きません。

一方ケースCは、年金に余力があり家賃も年金の30%に収まっているため、売却代金はほぼ手つかずのまま残る計算です。同じリースバックでも、年金と家賃のバランスで結果はまったく変わるのです。

リースバックは長生きするほど不利になる構造

家賃は住み続ける限り払い続けるものなので、長生きすればするほど総額が膨らみます。さらに夫婦の場合、どちらかが亡くなると年金は遺族年金に切り替わって減りますが、家賃は変わりません。ケースAの妻が一人になった後の数年間は、試算よりも不足額が大きくなる可能性が高いのです。

計算して持続年数が足りないと分かったら、打てる手は3つです。売却価格を下げて家賃を抑える、住み替えや施設入居までの期限付きで使う、年金に余力がある状態まで生活費を見直す。売却価格と家賃の関係は、以下の記事で詳しく解説しています。

固定資産税・修繕費がなくなる分を差し引いた「実質負担」で比べる

家賃の数字だけを見ると重く感じますが、持ち家のまま住み続けても費用はゼロではありません。リースバックで売却すると不要になるコストを差し引いて、実質の負担で比べてみてください。

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持ち家で住み続ける場合の費用年間の目安リースバック後
固定資産税・都市計画税10〜15万円不要(所有者の業者が負担)
建物の火災保険・地震保険3〜5万円不要(家財保険のみ年1〜2万円)
屋根・外壁・給湯器などの修繕平準化すると20〜30万円契約次第(借主負担なら削減にならない)
合計33〜50万円(月3〜4万円)

修繕を貸主負担とする契約なら、月12万円の家賃でも実質の負担増は月8〜9万円程度になります。逆に修繕が借主負担の契約だと、固定資産税と保険の分しか減らず、実質負担はほとんど下がりません。老後の資金計画では、修繕負担の区分が家賃と同じくらい重要です。負担区分の考え方は以下の記事で解説しています。

介護・施設入居を見据えたリースバックの出口戦略

老後のリースバックで見落とされがちなのが「いつ、どうやって家を出るか」です。介護が必要になって施設に移る、子どもの近くに住み替える。その時点で契約を終えられるか、次の住まいの資金が残っているかを、契約前に考えておいてください。

普通借家契約なら退去の時期を自分で決められる

普通借家契約は、借主が希望する限り更新でき、借主から解約するときは契約で定めた予告期間(1か月前が一般的)で出られます。「住み続けたいだけ住み、出たくなったら出る」ことができる契約で、老後の利用に最も向いています。

定期借家でも療養・介護を理由に中途解約できる

定期借家契約は原則として期間中に解約できませんが、床面積200㎡未満の居住用建物なら、療養や親族の介護などやむを得ない事情で住み続けるのが難しくなったとき、1か月前の申入れで解約できると借地借家法で定められています。一般的な住宅はほぼ対象です。ただし、定期借家は期間満了時に再契約を断られる可能性があるため、長く住むつもりなら普通借家を優先してください。契約の種類による違いは以下の記事で解説しています。

施設に移る資金を売却代金から残しておく

介護付き有料老人ホームには入居一時金がかかる施設も多く、月額費用も家賃より高くなるのが普通です。売却代金を家賃の補填で使い切ってしまうと、いざ施設に移ろうとしたときに資金が残っていません。前の章の持続年数の計算では、施設入居の資金を別枠で差し引いたうえで試算するのが安全です。

「5年後に施設へ移る」と決めている方にとっては、リースバックはむしろ使いやすい仕組みです。期限が分かっていれば家賃の総額が確定し、売却代金のうち施設に回せる金額も計算できます。

認知症・成年後見とリースバック|判断能力が落ちる前に決めておくべき理由

リースバックの検討を「もう少し先でいい」と先送りしているうちに、判断能力が落ちてしまうケースがあります。そうなると、選択肢が大きく狭まります。

判断能力の状態別に、リースバックの契約を誰がどう進めるかを示した図。十分なら本人、低下したら成年後見人と家庭裁判所の許可、元気なうちなら任意後見や家族信託で備える

判断能力が落ちると本人は売買契約を結べない

不動産の売買には、契約の内容を理解して判断する能力(意思能力)が必要です。認知症などで判断能力が十分でないと、本人の署名があっても契約は無効になる可能性があり、業者も契約を受けられません。家族が代わりに署名することも当然できません。

軽い認知症なら契約できる?業者と司法書士の意思確認

認知症と診断されていても、症状が軽く、売却価格や家賃、住み続ける条件を理解して判断できるなら、本人が契約を結ぶこと自体は可能です。ただし業者は、あとから契約の有効性を争われるリスクを避けるため、面談を重ねたり、医師の診断書を求めたりして慎重に意思を確認します。所有権を移す登記の際にも、司法書士が本人と面談して売る意思を確かめます。

この確認で「判断が難しい」とされれば、本人による契約はできません。家族は面談に同席し、本人が条件を理解しているかを一緒に確かめてください。

成年後見人による自宅の売却には家庭裁判所の許可が必要

判断能力が低下した後は、成年後見人などを選任して本人に代わって手続きを進めることになります。ただし、本人が住んでいる家を後見人が売るには、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。許可を得ずに売った場合、その売買は無効になります。保佐人や補助人が代理で売る場合も同じです。

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制度誰が売る家庭裁判所の許可
法定後見(後見)成年後見人必要
法定後見(保佐・補助)代理権を与えられた保佐人・補助人必要
任意後見本人が元気なうちに選んだ任意後見人法律上は不要(任意後見監督人の監督を受ける)
家族信託信託を受けた家族(受託者)不要(信託契約の範囲で売却できる)

後見の申立てから売却までの期間と費用

後見人の選任は、本人の住所地の家庭裁判所に申し立てます。申立てから後見が始まるまでは、多くの場合2か月以内、長いと4か月程度です。そのうえで後見人が業者と条件を詰め、居住用不動産の処分許可を改めて申し立てるため、売却まで半年近くかかることも珍しくありません。

成年後見人が本人の自宅をリースバックで売るまでの流れ。後見の申立て、後見開始、業者との条件の検討、家庭裁判所への処分許可の申立て、許可後の契約と決済
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費用目安
申立ての手数料・登記手数料・郵便切手合わせて1万円前後
医師による鑑定(必要な場合)5万〜10万円程度
弁護士・司法書士が後見人になった場合の報酬月2万円程度から(財産額により増える)

家庭裁判所が許可するかどうかの判断材料

家庭裁判所は、売却が本人の生活と財産を守るために必要かを見て判断します。「老後資金を増やしたい」という目的だけでは許可されにくく、介護費や生活費が足りないといった具体的な必要性が求められるのです。リースバックの場合は、通常の売却より価格が低いことにも説明が要ります。本人が住み慣れた家に住み続ける必要があること、複数社の査定を比べて条件を選んだこと、売却代金と年金で家賃を払い続けられることを、資料で示せるようにしておきましょう。

元気なうちに家族と共有しておく3つのこと

  • リースバックを使うかどうかの方針。使うなら何歳頃までに決めるか
  • 売却代金の使い道。家賃の補填、医療・介護、相続でどう分けるか
  • 判断能力が落ちたときの備え。任意後見契約や家族信託を使うかどうか(弁護士・司法書士に相談)

任意後見契約は、元気なうちに信頼できる人を後見人として選んでおく契約で、公正証書で結びます。家族信託は、自宅を子どもなどに託して管理や売却を任せる仕組みで、判断能力が落ちたあとも家庭裁判所の許可なしに売却を進められます。どちらも本人の判断能力があるうちにしか結べない点に注意してください。

家族に内緒でリースバックを契約し、後から発覚してもめるケースは少なくありません。家族の理解を得ておくことは、トラブル防止だけでなく、いざというときに代わりに動いてもらうための準備でもあります。

判断能力が落ちた親が契約してしまったら

国民生活センターには、認知症の親が相場より大幅に安い価格で自宅をリースバックで売ってしまったという相談も寄せられています。契約の時点で本人に判断能力がなかったと示せれば、契約の無効を主張できる可能性があります。気づいたら、契約書や通帳、当時の診断記録をそろえ、消費者ホットライン188や弁護士に早めに相談してください。時間がたつほど、当時の判断能力を証明するのは難しくなります。

高齢者がリースバックの審査で見られる点

リースバックは売買と賃貸の2つの契約なので、審査も「家を買えるか」と「家賃を払えるか」の2段階で行われます。高齢者が気にするのは後者です。

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審査で見られる点高齢者の場合の実情準備しておくこと
年齢上限を設けない業者が多いが、社内基準で制限する業者もある複数社に相談する
家賃の支払い能力保証会社が年金収入と預貯金を確認する年金振込通知書、売却後の預金見込みを示す
連帯保証人・緊急連絡先子どもを保証人や緊急連絡先に求められることがある家族の同意を事前に得ておく
意思能力の確認契約時に家族の同席を求める業者もある家族と一緒に説明を受ける

年金だけでは家賃の審査が通りにくい場合でも、売却代金が預貯金として残ることを示せば通るケースがあります。審査の基準と必要書類は以下の記事にまとめています。

リースバック以外の老後資金の選択肢との比較

持続年数の計算で「足りない」と分かった方は、リースバック以外の方法とも比べてみてください。住み続けたいのか、資金を最大化したいのかで、向いている方法が変わります。

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方法家の所有権毎月の支払い長生きした場合向いている人
リースバック手放す家賃家賃の総額が膨らむ年金で家賃を払える人、期限付きで住みたい人
リバースモーゲージ維持(担保に入れる)利息のみ(元本は死亡後に家の売却で返済)融資枠に達すると追加で借りられない。金利上昇で利息が増える都市部の戸建てに住み、所有を続けたい人
通常売却して住み替え手放す住み替え先の家賃家賃は賃貸相場なのでリースバックより抑えやすい引越しに抵抗がなく、手残りを最大化したい人
子どもとの同居手放すか維持家族内で取り決め住居費の不安は小さい家族の協力が得られる人

リバースモーゲージは所有権を残したまま資金を借りられる点が魅力ですが、対象が都市部の戸建てに限られることが多く、マンションは対象外の金融機関もあります。なお、よく名前が挙がる「リ・バース60」は住宅の購入やリフォームのための住宅ローンで、生活費には使えない点に注意してください。リースバックとリバースモーゲージの違いは、以下の記事で10項目に分けて比較しています。

相続の悩みとあわせて老後資金を考えている方は、相続対策としてのリースバックの使い方もあわせて確認してください。

老後資金とリースバックに関するよくある質問

80歳を過ぎていてもリースバックはできますか?

年齢の上限を設けていない業者が多く、80歳を過ぎてから利用する方もいます。ただし契約内容を理解して判断できることが前提で、家族の同席を求められることもあります。80歳の平均余命は男性約9年、女性約12年なので、その期間に家賃を払い続けられるかを計算してから判断してください。

子どもに相談せずに契約しても問題ありませんか?

名義人本人に判断能力があれば、法的には本人の意思だけで契約できます。ただ、家が現金に変わることで相続の形も変わり、後から家族ともめる原因になりやすいのが実情です。保証人や緊急連絡先として家族の協力が必要になることも多いため、契約前に家族と共有しておくことをおすすめします。

年金だけで家賃が払えなくなったらどうなりますか?

滞納が数か月続くと、普通借家契約でも契約を解除されて退去を求められる可能性があります。支払いが苦しくなりそうだと分かった時点で、滞納する前に業者へ相談し、家賃の見直しや支払い時期の調整を申し出てください。売却代金が残っているうちに、家賃の低い住まいへの住み替えを検討するのも選択肢です。

契約者が亡くなった後、家族は住み続けられますか?

賃借権は相続の対象になるため、同居している家族が相続人であれば、契約を引き継いで住み続けられます。普通借家契約ならその後も更新できますが、定期借家契約は期間満了で終了する点は変わりません。相続人以外の同居人については扱いが異なるので、契約時に業者へ確認しておいてください。

リースバックは老後2,000万円問題の対策になりますか?

2019年の金融審議会の報告書は、高齢夫婦無職世帯で毎月約5.5万円が不足し、20〜30年で約1,300万〜2,000万円が必要になると試算しました。リースバックはまとまった資金を得られる一方、家賃という新たな支出が加わるため、毎月の不足額はむしろ大きくなります。年金で家賃を払える範囲に収まる場合や、期限付きで使う場合に限って有効な対策と考えてください。

認知症の親の家を、子どもが代わりにリースバックで売ることはできますか?

親に判断能力がなければ、子どもが委任状などで代わりに契約することはできません。家庭裁判所に成年後見の申立てをして後見人を選んでもらい、後見人が家庭裁判所の許可を得て売ることになります。親が元気なうちに任意後見契約や家族信託を結んでおけば、手続きの負担を大きく減らせます。

まとめ|老後資金のリースバックは「家賃÷年金」と「持続年数」で判断する

老後資金にリースバックを使えるかは、家賃が年金手取りの何%に収まるか、足りない分を売却代金で補ったときに何年もつかで決まります。平均的な高齢世帯は家賃ゼロでも赤字のため、年金だけで家賃を払い切れるケースは多くありません。持続年数が平均余命+5年に届かないなら、売却価格を下げて家賃を抑える、期限を決めて使う、他の方法と比べるといった見直しが必要です。

この記事のまとめ
  • 家賃÷年金手取りは25%以内が安全、35%超は危険。額面ではなく手取りで計算する
  • 平均的な高齢夫婦世帯は持ち家でも月約4.2万円の赤字。家賃の多くは売却代金の取り崩しになりやすい
  • 持続年数=売却代金÷年間の不足額。平均余命+5年を上回るかで終の棲家として使えるかを判断する
  • 固定資産税や修繕費が消える分を差し引いた実質負担で比べる。修繕負担の区分が大きく効く
  • 施設入居の資金を残す、普通借家を選ぶ、判断能力があるうちに家族と決めておく

費用や手残り額の考え方は、以下の記事でも詳しく整理しています。

株式会社CLOUD HOMeでは、宅地建物取引士が1,500件以上の訳あり不動産の相談を扱ってきた経験をもとに、年金額と住みたい年数に合わせた売却価格と家賃の組み合わせをご提案しています。「うちの年金で何年住めるか」を一緒に計算するところからご相談ください。資金計画の詳細は、ファイナンシャルプランナーへの相談もあわせておすすめします。

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