
相続した空き家、売るか貸すかでずっと迷っていて…。どっちが得なのか、はっきりした基準がわからないんです。
空き家を売却するか賃貸に出すか、どちらが得かは立地・築年数・将来の利用意向によって変わります。まとまった現金がほしいなら売却、長期的な収入や資産保持を重視するなら賃貸、というのが大まかな方向性です。
とはいえ、「方向性」だけでは決めきれませんよね。そこでこの記事では、10年間の収支を具体的な数字でシミュレーションし、売却・賃貸・リノベ後賃貸の3パターンを徹底比較します。
立地や築年数から「自分はどちらが向いているか」を診断できる判断フローチャートも用意しました。空き家を売るか貸すかで迷っている方は、判断材料としてぜひ役立ててください。
空き家は売却と賃貸どっちが得?まず判断軸を整理
シミュレーションに入る前に、何を基準に判断すればいいのかを整理しておきましょう。判断軸がはっきりすると、自分にとっての「得」が見えやすくなります。
「お金」「手間」「将来性」の3つの判断軸
売却と賃貸を比べるとき、見るべきポイントは大きく3つあります。
| 判断軸 | 売却 | 賃貸 |
|---|---|---|
| お金 | まとまった現金が一度に入る | 毎月の家賃収入が長期で入る |
| 手間 | 売却後は一切かからない | 管理・修繕の手間が続く |
| 将来性 | 資産を手放す(取り戻せない) | 資産を保持し将来住む選択も残る |
「とにかく手間なく現金化したい」なら売却、「資産を残しつつ収入を得たい」なら賃貸、というように、何を優先するかで答えは変わってきます。
結論|立地と将来の利用意向で大きく分かれる
先に結論をお伝えすると、判断のカギを握るのは立地と将来その家を使う可能性があるかの2点です。
駅近や生活利便性の高いエリアなら賃貸需要が見込めるため、貸して収入を得る選択が活きます。一方、賃貸需要の乏しい立地や、今後も使う予定がまったくない物件なら、早めに売却して現金化するほうがスッキリすることも。次章から、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
空き家を売却するメリット・デメリット
まずは売却から見ていきます。空き家を売るという選択には、現金化のわかりやすさと引き換えに、いくつか割り切るべき点もあります。
売却のメリット(現金化・維持費ゼロ・リスク回避)
売却の最大の魅力は、空き家をまとまった現金に変えられることです。立地や状態によっては数百万〜数千万円が一度に手に入り、老後資金や他の用途に回せます。
売却後は固定資産税や管理の手間からも完全に解放されます。建物の老朽化による資産価値の下落や、災害・倒壊といったリスクも手放せるため、「持ち続ける不安」がなくなるのは大きなメリットです。
売却のデメリット(資産を手放す・将来住めない)
一方で、一度売却すると当然ながら家は戻ってきません。将来「やっぱり住みたい」「子どもに使わせたい」と思っても、その選択肢は消えてしまいます。思い出の詰まった実家であれば、心理的な抵抗を感じる方もいるでしょう。
売却には仲介手数料や測量費などの費用がかかり、利益が出れば譲渡所得税の対象にもなる点は割り切る必要があります。
売却で使える3,000万円特別控除
相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。1981年5月以前建築の旧耐震物件であることなど条件はありますが、適用できれば譲渡所得税を大幅に減らせます。
相続開始から3年後の年末までという期限があるため、売却を考えているなら早めの確認が肝心です。
空き家を賃貸に出すメリット・デメリット
続いて賃貸です。貸すという選択は、資産を保持しながら収入を得られる反面、大家としての責任も伴います。
賃貸のメリット(家賃収入・資産保持・特例維持)
賃貸の魅力は、入居者がいる限り毎月安定した家賃収入が入ってくること。月数万円でも、長期で積み重なれば大きな金額になります。所有権を保持できるので、将来自分や家族が住む選択肢も残せます。
人が住むことで建物の劣化を防げるうえ、住宅用地の特例も維持されるため固定資産税が上がる心配もありません。空き家を放置して特定空家に指定されるリスクも回避できます。
賃貸のデメリット(空室リスク・管理の手間・初期費用)
賃貸で避けて通れないのが空室リスクです。入居者が見つからなければ家賃収入はゼロのまま、管理費や固定資産税だけが出ていきます。古い空き家は貸せる状態にするためのリフォーム初期費用もかかります。
入居者とのトラブル対応、設備故障時の修繕、退去時の原状回復など、大家としての手間と責任が続く点も理解しておきましょう。
賃貸収入にかかる税金(不動産所得)
家賃収入は不動産所得として課税対象になり、毎年確定申告が必要です。ただし、固定資産税・管理費・修繕費・減価償却費などを経費として計上できるため、額面どおりに課税されるわけではありません。経費を差し引いた利益に対して所得税・住民税がかかる仕組みです。



売却は「一度にまとまったお金」、賃貸は「コツコツ長期の収入」。どちらが得かは、次の10年シミュレーションで数字を見るとはっきりしますよ。
【10年シミュレーション】売却 vs 賃貸はどっちが得か
ここが本記事の核心です。同じ空き家を「売却した場合」「賃貸に出した場合」「リノベして賃貸に出した場合」の3パターンで、10年間の収支を具体的な数字で比較します。
前提条件(築30年・評価額・想定家賃)
- 物件は築30年の木造戸建て(地方都市の住宅地)
- そのまま売却した場合の価格は800万円
- そのまま賃貸に出した場合の家賃は月6万円
- リノベ費用は500万円、リノベ後の家賃は月9万円
- 固定資産税・管理費などの年間維持費は20万円
売却した場合の10年収支
そのまま売却すると、手元には売却価格から諸費用を引いた金額が残ります。売却後は維持費がかからないため、収支はシンプルです。
- 売却価格800万円 − 諸費用(仲介手数料等)約60万円 = 約740万円
- 10年間の維持費負担はゼロ
- 10年後の手残りは約740万円
賃貸に出した場合の10年収支
月6万円で賃貸に出した場合、家賃収入から維持費を差し引いた額が手元に残ります。空室期間を考慮し、稼働率を9割として計算します。
- 家賃収入=月6万円 × 12ヶ月 × 10年 × 稼働率90% = 約648万円
- 維持費=年20万円 × 10年 = 200万円
- 10年間の収益=648万円 − 200万円 = 約448万円(物件は資産として保持)
10年間の手残りは売却より少なく見えますが、家という資産が手元に残り続ける点が大きな違い。10年後に売却すれば、さらに売却益が上乗せされます。
リノベ後賃貸の10年収支(第3の選択肢)
ここで提案したいのが、500万円かけてリノベーションし、家賃を月9万円に引き上げる「第3の選択肢」です。初期投資は必要ですが、家賃が上がることで収益性が大きく変わります。
- 家賃収入=月9万円 × 12ヶ月 × 10年 × 稼働率95% = 約1,026万円
- リノベ費用500万円/維持費=年20万円 × 10年 = 200万円
- 10年間の収益=1,026万円 − 500万円 − 200万円 = 約326万円(リノベ済み資産を保持)
リノベ費用を回収してなお収益が残り、しかもリノベ済みの物件は売却時の価格も大きく上がります。リノベ後の物件価値が1,500万円程度になれば、資産価値まで含めた総合的な手残りは3パターンで最大になります。
3パターンの累計比較表と結論
| パターン | 10年間の現金収支 | 10年後の資産 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 売却 | 約740万円 | なし | 手間ゼロ・将来の選択肢なし |
| 賃貸(そのまま) | 約448万円 | 築40年の家 | 低投資・家賃は控えめ |
| リノベ後賃貸 | 約326万円 | リノベ済み・約1,500万円 | 高投資・資産価値と収益を両立 |
現金収支だけ見ると売却が最も多いですが、資産価値まで含めるとリノベ後賃貸が総合的に有利になります。「今すぐ現金がほしい」なら売却、「長期で資産を育てたい」ならリノベ後賃貸、というのがこのシミュレーションの結論です。
※あくまで一例の試算です。実際の数字は立地・物件状態・家賃相場によって変わるため、個別のシミュレーションが必要です。リノベ費用の詳しい相場は下記をご覧ください。
【診断】あなたの空き家は売却・賃貸どっち向き?
シミュレーションを踏まえて、あなたの空き家がどちらに向いているかを診断してみましょう。質問に順番に答えるだけで、方向性が見えてきます。
立地・築年数・将来意向で分かれる判断フローチャート
ある → 賃貸を検討。所有権を残せば将来住む選択肢をキープできます。
ない → Q2へ
賃貸需要あり → Q3へ
賃貸需要が乏しい → 売却が無難。借り手がつきにくい立地は空室リスクが高くなります。
ある → リノベ後賃貸。家賃を上げて収益性と資産価値を高められます。
ない → そのまま賃貸。最低限の修繕で貸し出す方向です。
必要 → 売却。一度にまとまった資金を確保できます。
急がない → 賃貸で長期的に収入を得る選択が活きます。
売却が向いている人/賃貸が向いている人
| 売却が向いている人 | 賃貸が向いている人 |
|---|---|
| 今すぐ現金が必要 | 長期的な副収入がほしい |
| 管理の手間をかけたくない | 将来住む可能性を残したい |
| 賃貸需要の乏しい立地 | 駅近など賃貸需要が見込める |
| 遠方で管理が難しい | 資産として家を持ち続けたい |
売却・賃貸で迷ったときの進め方
まずは査定と家賃相場の両方を調べる
どちらが得かを正確に判断するには、具体的な数字が欠かせません。「売ったらいくらになるか」の売却査定と、「貸したらいくらで貸せるか」の家賃相場を、両方とも調べてみましょう。
不動産会社に相談すれば、売却査定と賃料査定の両方を出してもらえます。実際の数字が出れば、本記事のシミュレーションに当てはめて、自分のケースでの10年収支を試算できます。
「リノベ後賃貸」という選択肢も検討する
売却と賃貸の2択で考えがちですが、シミュレーションで見たとおり、立地に賃貸需要があるなら「リノベ後賃貸」が総合的に有利になることも多いです。賃貸以外の活用法も含めて検討したい方は、活用事例の記事も参考にしてみてください。
空き家の売却・賃貸に関するよくある質問
- 空き家は売却と賃貸どちらが儲かりますか?
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一概には言えず、立地と保有期間によります。今すぐの現金収支では売却が有利なことが多いですが、賃貸需要のある立地なら、長期保有で家賃収入を積み上げつつ資産も残せる賃貸が総合的に得になるケースもあります。特にリノベーションして家賃を上げれば、資産価値まで含めた手残りは最大化しやすくなります。本記事の10年シミュレーションを目安に、自分の物件の数字で試算してみてください。
- 古い空き家でも賃貸に出せますか?
-
築年数が古くても、最低限のリフォームで貸し出せる状態にすれば賃貸は可能です。ただし、設備が古いままだと借り手がつきにくく、家賃も低くなりがち。水回りの交換や内装の刷新といったリノベーションを行うことで、入居率と家賃の両方を引き上げられます。立地に賃貸需要があるなら、初期投資を回収できる見込みは十分にあります。
- 賃貸に出すといくらくらい初期費用がかかりますか?
-
物件の状態によりますが、清掃と最低限の修繕だけなら数十万円、水回り交換や内装刷新を含む部分リノベなら100〜500万円が目安です。間取り変更を伴うフルリノベーションでは500万円以上かかることもあります。どこまで手を入れるかは、想定家賃と回収期間を踏まえて判断しましょう。
- 売却と賃貸で税金はどう違いますか?
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売却の場合、利益が出ると譲渡所得税がかかりますが、相続した空き家なら最大3,000万円の特別控除が使える可能性があります。賃貸の場合は、家賃収入が不動産所得として毎年課税され、確定申告が必要です。ただし維持費や減価償却費を経費にできるため、課税対象は家賃の額面より小さくなります。一度に課税される売却と、毎年少しずつ課税される賃貸、という違いがあります。
- 一度賃貸に出したら売却できなくなりますか?
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賃貸に出しても売却は可能です。入居者がいる状態のまま「オーナーチェンジ物件」として売却する方法もありますし、入居者の退去後に売却することもできます。ただし、入居中の物件は買い手が限られる、相続空き家の3,000万円控除が使えなくなるといった制約も出るため、将来的に売却の可能性があるなら、賃貸に出す前に方針を整理しておくと安心です。
まとめ|売却と賃貸は「10年後の収支」で判断しよう
- 売却は「まとまった現金・手間ゼロ」、賃貸は「長期収入・資産保持」が特徴
- 判断のカギは「立地」と「将来その家を使う可能性があるか」の2点
- 10年シミュレーションでは、現金収支は売却が最多だが、資産価値を含めるとリノベ後賃貸が総合的に有利
- 今すぐ現金が必要なら売却、長期で資産を育てたいならリノベ後賃貸が向く
- 判断には売却査定と家賃相場の両方を調べ、自分の数字で試算するのが確実
空き家を売るか貸すかは、目先のメリット・デメリットだけでなく、10年というスパンで収支と資産価値を見比べると判断しやすくなります。大切なのは、感覚ではなく具体的な数字で比較すること。
そして見落としがちなのが、「リノベして貸す」という第3の選択肢です。立地に賃貸需要があるなら、初期投資を回収しながら資産価値も高められる、バランスの良い選択になり得ます。
リノすまいるでは、売却査定・賃料査定・リノベーション費用のお見積もりをまとめてご提案し、あなたの空き家に最適な選択をサポートしています。「売るか貸すか決めきれない」という段階から、お気軽にご相談ください。










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