「底地を手放したいけれど、いったいいくらで売れるんだろう?」と気になっている地主の方は多いと思います。底地は普通の土地と違って相場が分かりにくく、売却の判断もしづらいですよね。
結論からお伝えすると、底地の買取相場は更地価格(土地を更地として売る場合の価格)の1〜5割程度で、誰に売るかによって大きく変わります。借地人に売れば5割前後、買取業者に売れば1〜2割が目安です。相場の幅が広いのが底地の特徴です。
この記事では、売却先別の相場を金額例とともに解説し、底地割合を使った価格の計算方法、借地人に高く売れる「限定価格」の仕組み、借地権の種類による違い、高く売る方法まで、底地の売却を検討する方が知っておきたい情報を整理しました。売却で損をしないために、ぜひ参考にしてください。

まずは「売却先によって相場が大きく変わる」という点を押さえておきましょう。同じ底地でも、借地人に売るか業者に売るかで価格が数倍違うこともあるんですよ。
底地の買取相場は更地価格の1〜5割【売却先別の早見表】
底地の買取相場は「誰に売るか」で大きく変わります。主な売却先は、借地人・第三者への同時売却・買取業者・投資家の4つです。それぞれの相場を早見表で整理しましょう。
| 売却先 | 相場の目安(更地価格に対して) | 特徴 |
|---|---|---|
| 借地人 | 5割前後 | 最も高い。限定価格が成立 |
| 借地人と同時売却 | 底地割合(3〜4割程度)〜 | 完全所有権として売れる |
| 買取業者 | 1〜2割 | 早く確実。関係悪化でも可 |
| 第三者(投資家) | 1〜2割 | 買い手は限定的 |
更地価格5,000万円の底地を例にすると、借地人へなら約2,500万円、買取業者へなら約500万〜1,000万円が目安になります。同じ底地でこれだけ差が出るため、売却先選びが非常に重要です。
借地人へ売却する場合は更地価格の5割前後で最も高い
底地を最も高く売れる相手は、その土地を借りている借地人です。借地人が底地を買い取ると、自分の借地権と合わさって土地が完全な所有権になり、建て替えや売却が自由になる大きなメリットがあります。
このメリットの大きさから、借地人への売却では「限定価格」という特別な価格が成立し、相場は更地価格の5割前後と高くなります。ただし、借地人に買い取る意思と資力がなければ成立しないため、まずは借地人の意向を確認することが第一歩です。限定価格の仕組みは、後の章でくわしく解説します。
買取業者へ売却する場合は更地価格の1〜2割で早く確実
底地を専門に扱う買取業者へ売る方法は、価格は更地価格の1〜2割とやや低めですが、早く確実に現金化できるのが利点です。借地人との交渉が不要で、地主と業者の2社間で取引が完結するため、売却の可否がすぐに分かります。
借地人との関係が良好でない場合や、相続などで急いで現金化したい場合に向いています。「手間をかけず早く手放したい」なら、専門の買取業者が現実的な選択肢です。
第三者(投資家)へ売却する場合は買い手が限定的
底地を投資物件として第三者の投資家へ売る方法もあります。安定した地代収入が見込めるため一定の需要はありますが、相場は更地価格の1〜2割程度です。投資家は地代利回りをシビアに評価するため、地代が低い底地は特に価格が上がりにくくなります。
個人の投資家に底地単独で売るのはハードルが高く、買い手を見つけるのに時間がかかることも少なくありません。実務上は、専門の買取業者が投資家への転売も含めて対応するケースが多くなります。
なぜ底地は更地より安くなるのか
「土地の所有権なのに、どうして更地よりこんなに安いの?」と疑問に思う方も多いはず。底地の価格が下がる理由を理解しておくと、相場に納得しやすくなります。
借地人がいて自由に使えないから
最大の理由は、底地には借地人がいて、地主が自由に使えないからです。借地契約が続く限り、地主は土地を自分で使ったり、建物を建てたりできません。借地人に立ち退きを求めることも、正当な理由がなければできません。
買い手にとっては、この「自由に使えない土地」は普通の更地より魅力が低く映るものです。利用の制約が価格に直結し、更地より大きく値下がりする原因になります。
収益性が低く投資商品としてシビアに評価される
第三者や投資家が底地を買う場合、その底地は「地代でどれだけ稼げるか」という収益商品として評価されます。ところが、底地の地代は固定資産税の数倍程度にとどまることが多く、土地価格に対する利回りは低くなりがちです。
特に、契約当初から地代が据え置かれている底地は収益性が低く、投資家が採算をとるには、更地価格の1割程度でなければ買えないというのが実務の現実です。地代の低さが、買取価格を押し下げる要因になっています。
買い手が限られ売却に時間がかかる
底地は権利関係が複雑で、専門知識がないと扱いにくいため、買い手が限られます。通常の不動産のように、一般の個人が住むために買うことはまずありません。
買い手の中心は、底地を専門に扱う業者や一部の投資家に限られます。売却事例そのものが少なく、売り出しても買い手がなかなか見つからないことがあります。この流動性の低さも、価格が抑えられる一因です。
底地の価格の決まり方【底地割合と路線価】
「更地価格の何割」といっても、自分の底地の価格がいくらなのか分からないと始まりません。ここでは、底地価格のおおよその計算方法を解説します。
基本の考え方は「更地価格×底地割合」
底地の価格は、次の式でおおよその金額を計算できます。
底地価格 = 更地価格 × 底地割合
底地割合とは、土地全体の価値のうち、地主が持つ底地が占める割合です。土地の価値は借地人が持つ「借地権」と地主が持つ「底地」に分かれており、この底地部分の割合を更地価格に掛けることで、底地のおおよその評価額が求められます。
底地割合は「100%-借地権割合」で求める
底地割合は、路線価図に直接は記載されていません。借地権割合から計算して求めます。借地権割合と底地割合を足すと100%になるため、次の式で算出可能です。
底地割合 = 100% - 借地権割合
借地権割合は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認しましょう。路線価図には道路ごとに「200D」のような表示があり、数字が路線価(千円単位)、アルファベットが借地権割合を表します。記号と割合の対応は次のとおりです。
| 記号 | 借地権割合 | 底地割合 |
|---|---|---|
| C | 70% | 30% |
| D | 60% | 40% |
| E | 50% | 50% |
| F | 40% | 60% |
金額シミュレーション
実際に計算してみましょう。更地価格5,000万円、借地権割合が60%(記号D)の底地を例にします。
- 底地割合…100%-60%で40%
- 底地価格…5,000万円×40%で2,000万円
このケースでは、底地価格の目安は2,000万円と算出できます。ただし、これはあくまで相続税評価上の理論値です。実際の買取価格は、この計算どおりにはならない点に注意が必要です。特に第三者や業者への売却では、この理論値よりさらに低くなるのが一般的で、借地人への売却では逆に高くなる傾向があります。
借地人に売ると高くなる「限定価格」とは
底地を借地人に売ると相場が高くなる理由が、この「限定価格」です。売却検討で最も重要なポイントなので、しっかり理解しておきましょう。
限定価格の考え方(所有権化のメリット分が上乗せ)
限定価格とは、特定の相手との取引だからこそ成立する特別な価格のことです。借地人が底地を買うと、自分の借地権と地主の底地が1つになり、土地が完全な所有権に生まれ変わります。
完全な所有権になれば、建て替え・売却・担保設定が自由になり、土地の価値そのものが跳ね上がります。この価値の上昇分(統合メリット)が価格に上乗せされるため、借地人への売却価格は第三者に売るより高くなるのです。
「更地価格-借地権価格+α」のイメージ
限定価格の考え方を式のイメージで表すと、次のようになります。
底地の限定価格 =(更地価格 - 借地権価格)+ 所有権化のメリット分(α)
まず更地価格から借地権価格を引いた金額が、通常の底地価格の出発点です。そこに、借地人が所有権化で得るメリット分(α)を上乗せして価格を決めます。この上乗せがあるからこそ、借地人への売却は更地価格の5割前後まで高くなります。借地人にとっても、価値の上がる土地を手に入れられるため、双方にメリットのある取引です。
借地人への売却は交渉とタイミングがカギ
限定価格で高く売れるとはいえ、借地人に買う意思がなければ実現しません。借地人が底地の買い取りに前向きになるのは、建て替えを考えているときや、住宅ローンを組みたいときなど。相手のタイミングを見極めることが大切です。
価格交渉では、感覚的に進めるとお互いの取り分を見誤りがちです。路線価や不動産鑑定にもとづく客観的な根拠を示しながら進めると、話がこじれにくくなります。個人間の直接交渉はトラブルのもとになりやすいため、不動産会社に仲介を依頼するのがおすすめです。
借地権の種類で相場が変わる
底地の相場は、設定されている借地権の種類によっても変わります。土地がいつ戻ってくるかの見通しが、価格を左右するためです。
普通借地権・旧法借地権は相場が低い
普通借地権や旧法借地権が設定された底地は、相場が低くなる傾向があります。これらの借地権は借地人が手厚く保護されており、契約が終了しても地主は正当な理由がなければ更新を拒めず、土地が半永久的に戻ってこないためです。
「いつ土地を自由に使えるようになるか分からない」という不透明さから、買い手にとっての魅力は低く、第三者への売却では更地価格の1〜2割程度にとどまります。市場に出ている底地の多くは、このタイプです。
定期借地権は満了が近いほど更地価格に近づく
一方、定期借地権が設定された底地は、契約期間が満了すれば更地になって確実に土地が戻ってきます。この「必ず戻る」という安心感から、普通借地権より相場は高めです。
しかも、契約の残り期間が短いほど、底地の相場は更地価格に近づきます。返還が間近であれば、更地価格の9割程度で売却できるケースも。自分の底地にどの借地権が設定されているかで、売却戦略は変わってくるでしょう。
底地を高く売る方法
同じ底地でも、売り方しだいで手取り額は変わります。少しでも高く売るための方法を押さえておきましょう。
借地人への売却・同時売却を検討する
最も高く売る近道は、これまで見てきたとおり借地人への売却です。限定価格が成立し、更地価格の5割前後が期待できます。借地人に買う意思があるなら、まずこの方法を検討しましょう。
借地人と協力できるなら、底地と借地権をセットで第三者に売る「同時売却」も有効です。完全な所有権として売れるため、底地単独より高値がつきます。こうした権利関係を解消する具体的な進め方は、底地の整理方法を解説した記事でくわしく紹介しているので、あわせて参考にしてください。
底地に強い専門業者に複数査定を依頼する
底地の売買は事例が少なく、価格の見極めに高い専門性が必要です。底地を専門に扱う不動産会社なら、複雑な権利関係を踏まえた適正な査定が期待できます。一般的な仲介会社より、底地の扱いに慣れた業者を選ぶのがポイントです。
査定額は業者によって差が出るため、必ず複数社に依頼して比較しましょう。1社だけの査定では、その価格が適正かどうか判断できません。査定額だけでなく、底地の取り扱い実績や対応の丁寧さもあわせて見極めることが大切です。
地代を適正化しておく
底地の価格は地代の水準に左右されます。特に投資家や業者は地代利回りで価値を判断するため、地代が低いままだと売却価格も低くなりがちです。売却前に、地代が相場より低すぎないか見直しておくと、査定額の向上につながることがあります。
ただし、地代の値上げには借地人の合意が必要で、簡単ではありません。売却を急がないなら、更新のタイミングなどで地代の適正化を検討しておくとよいでしょう。
底地売却にかかる費用・税金
底地を売却すると、手元に入る金額から差し引かれる費用や税金があります。手取り額を把握するために、主なものを押さえておきましょう。
| 費用・税金 | 目安 |
|---|---|
| 譲渡所得税 | 売却益に対して課税(所有期間で税率が変動) |
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+消費税(上限) |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付(売却価格に応じて変動) |
売却益(譲渡所得)が出た場合は、譲渡所得税がかかります。税率は所有期間で変わり、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えると長期譲渡所得、5年以下だと短期譲渡所得です。相続した底地は、被相続人が取得した日を引き継いで所有期間を判定します。税金の計算は複雑なので、税理士に相談すると確実です。
底地の買取相場に関するよくある質問(FAQ)
最後に、底地の買取相場についてよく寄せられる疑問にお答えします。
- 底地の買取相場はどのくらいですか?
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更地価格の1〜5割程度が目安で、売却先によって大きく変わります。最も高いのは借地人への売却で更地価格の5割前後、買取業者や第三者への売却では1〜2割程度です。更地価格5,000万円の底地なら、借地人へは約2,500万円、業者へは約500万〜1,000万円が目安になります。
- 底地の価格はどうやって計算しますか?
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基本は「更地価格×底地割合」で計算します。底地割合は「100%-借地権割合」で求め、借地権割合は国税庁の路線価図で確認できます。たとえば更地価格5,000万円、借地権割合60%なら、底地割合は40%で、底地価格は2,000万円が目安です。ただしこれは理論値で、実際の買取価格は売却先で変動します。
- なぜ借地人に売ると高くなるのですか?
-
借地人が底地を買うと、自分の借地権と合わさって土地が完全な所有権になり、建て替えや売却が自由になるためです。この価値の上昇分が価格に上乗せされる「限定価格」が成立し、第三者に売るより高くなります。目安は更地価格の5割前後です。双方にメリットのある取引といえます。
- 底地は更地よりなぜ安いのですか?
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借地人がいて地主が自由に使えないためです。借地契約が続く限り、土地を自分で使ったり建て替えたりできず、買い手にとって魅力が低くなります。また、地代収入が少なく投資商品として評価が低いこと、買い手が限られ売却に時間がかかることも、価格が下がる理由です。
- 借地権の種類で相場は変わりますか?
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変わります。普通借地権・旧法借地権は借地人保護が強く土地が戻りにくいため、相場は低め(更地価格の1〜2割程度)です。一方、定期借地権は期間満了で確実に土地が戻るため相場が高く、残り期間が短いほど更地価格に近づき、返還間近なら9割程度で売れることもあります。
まとめ|底地の相場は売却先しだいで大きく変わる
底地の買取相場と価格の決まり方について見てきました。要点を振り返っておきましょう。
- 底地の買取相場は更地価格の1〜5割。売却先で大きく変わる
- 最も高いのは借地人への売却(5割前後)、買取業者・第三者は1〜2割
- 底地価格の基本は「更地価格×底地割合」。底地割合は100%-借地権割合
- 借地人への売却は所有権化のメリット分が上乗せされる「限定価格」で高くなる
- 普通借地権は相場が低く、定期借地権は満了が近いほど更地価格に近づく
底地の売却は、相場と価格の決まり方を理解し、売却先を賢く選べば、納得のいく形で進められます。「底地は安くしか売れない」と諦める前に、借地人への売却や同時売却で高く売る道も検討してみてください。底地の売買は専門性が高いため、底地に強い不動産会社に複数査定を依頼するのが成功の近道です。
底地そのものの基礎知識をおさらいしたい方は底地の基礎を解説した記事を、借地人との権利関係を解消する具体的な進め方を知りたい方は、底地の整理方法を解説した記事もあわせて参考にしてみてください。相場を知った次の一歩が見つかるはずです。





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